
書籍名
知財のフロンティア 第2巻 学際的研究の現在と未来
判型など
328ページ、A5判
言語
日本語
発行年月日
2021年10月
ISBN コード
978-4-326-40398-1
出版社
勁草書房
出版社URL
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本書は知的財産に関する学際的研究にかかる論文を一冊の書籍に編んだものである。
こと学際的研究に関しては、書籍には、学術雑誌に掲載される論文にはない威力があるように思われる。筆者自身の経験では、法学以外の分野の方で以前から知的財産絡みの業績を公表されているにもかかわらず、私がその存在に気付いたのは書籍になってからだということがしばしばあった。私が著した本がきっかけとなって私の存在に気付いてアプローチしてくる異分野の方も何人かいたことに鑑みると、その逆もまた真であるのかもしれない。結局のところ、書店に並ぶこと、市販されている書籍としてインターネット上に掲示されることの効果は思いのほか大きく、そこには、学術雑誌をインターネットに掲載し公衆にアクセスしうるようにしたとしても超えられない壁があるということなのだろう。
本書は、そのような私の思いを踏まえ、知的財産法学の分野でも学際的研究に関心を有している者、知的財産法学以外の分野でも知的財産に関連する研究をなしている者が一同に会し、それぞれの成果の一端を示してもらえれば、多様な分野の読者の関心を引き付け、上に記した私のような体験が各所で生起するのではないか、それによって、知的財産法に関する学際的な交流はさらに進展するのではないかと考えて、企画された。その際、共同編集者の山根崇邦教授 (同志社大学) とも相談のうえ、各分野の状況をサーベイするような文書というよりは、むしろ、各自の研究の成果の一端を示してもらうような論文のほうが、学際的な交流の起爆剤という本書の目的に適うのではとないかとの発想の下、様々な分野の一線級の研究者に声をかけることにした。
幸い、この企画は、知財法学者はもとより、多様な分野からなる多数の執筆者の賛同を受け、2冊の論文集として完成するに至った。本書はその第二巻に該当し、知財法学者、経済学者、政治学者、実務家がそれぞれの関心から、知的財産を論じている。編者からの依頼に応えて、各人にその先端的な研究を、しかし他分野の読者を想定しながら、紙幅の都合のなかで簡潔に記していただいた結果、本書は、所期の目的どおり、学際的な研究の起爆剤というに足りるものとなったのではないかと自負している。とりわけ、本巻に収められた論文は、いずれも知的財産法の現場における実践を考察するうえでその基礎となる理論的な基盤を形成するものとして、今後も多分野の研究者に参照されることになるだろう。
(紹介文執筆者: 法学政治学研究科・法学部 教授 田村 善之 / 2025)
本の目次
第14章 職務発明制度とイノベーション──基本的構造の頑健性と合理性[中山一郎]
I はじめに
II 職務発明制度の変遷と基本的構造
III 職務発明制度の基本的構造の合理性
IV おわりに
第15章 創薬イノベーションに向けた特許制度と薬事法制の協働[前田 健]
I はじめに
II 創薬のインセンティブ確保の重要性とその手段
III 特許制度と薬事法制の協働による独占の実現
IV 独占による収益──薬価基準の意義
V おわりに──俯瞰的な制度設計の必要性
第6編 知的財産と産業実態
第16章 標準必須特許の権利行使とホールドアップ──経済学と競争政策の視点から見たFRAND条件の意義と課題[岡田羊祐]
I はじめに
II ホールドアップ問題
III 特許ホールドアップの危険性を高める要因
IV 標準必須特許を巡る問題の所在
V 特許侵害訴訟における差止請求の制限と損害賠償請求
VI おわりに
第17章 コンテンツ産業と著作権活用──迫る危機とビジネスの変容[河島伸子]
I はじめに
II コンテンツ産業の伝統的価値連鎖モデルとその変容
III 従来型コンテンツ・ビジネスへの脅威
IV アーティストへの影響
V コンテンツ・ビジネスの対応と変容
VI おわりに
第7編 知的財産と実証研究
第18章 知的財産制度はどのように利用されているのか──いくつかの知的財産に関する実証研究とその含意[渡部俊也=吉岡 (小林) 徹=平井祐理=胡 韋]
I はじめに
II 特許侵害訴訟における損害賠償額に関する実証研究
III 営業秘密の保護
第19章 特許の有効性判断に対する第三者の貢献──安定的な特許権の重要性[中村健太]
I はじめに
II 特許権の安定性
III 我が国制度の概要と変遷
IV 第三者の貢献──直接的効果と間接的効果
V 特許の無効化とイノベーション
VI おわりに
第8編 知的財産と国内政治
第20章 知的財産権法に関する立法プロセスと課題[別所直哉]
I はじめに
II 改正の手続
III 立法プロセスの端緒
IV 立法プロセスの始まり
V 閣議決定へ
VI 国会での審議
VII 次の課題の萌芽
VIII 立法プロセスの不透明性
IX 政策目標の実現はできたのか
X 立法事実重視に向けて
第21章 著作権法の政策形成およびルール形成が抱える課題について──一般条項型の権利制限規定のあり方に焦点を当てて[小島 立]
I はじめに
II 平成24年の著作権法改正について
III 著作権法の政策形成およびルール形成が抱える課題──一般条項型の権利制限規定に焦点を当てて
IV おわりに
第22章 著作権法をめぐる国内政治の政治学的分析──違法複製ファイルへのアクセスに関する法整備をめぐる政治過程の比較分析[京 俊介]
I はじめに
II 先行研究の検討と本章の位置付け
III 比較事例分析
IV おわりに
第9編 知的財産と国際政治
第23章 「TRIPs」の共有知識化の主体・構造・過程[遠矢浩規]
I はじめに
II 分析枠組
III 「TRIPs」の共有知識化──米国から日本へ
IV 結語
第24章 米国FTAの知的財産規定をめぐる政治過程──後発薬をめぐる国内分裂[西村もも子]
I 問題の所在
II 米国FTAと医薬品関連の知的財産規定
III 政治過程分析
IV まとめ
第25章 特許権者の国内実施要件に関する一考察──条約整合性と政策的意義の検討[鈴木將文]
I はじめに
II 制度及び関連条約の経緯と動向
III 条約整合性の検討
IV 政策的観点からの評価
V おわりに
あとがき[山根崇邦]
関連情報
あとがきたちよみ 『知財のフロンティア 第2巻』 (勁草書房編集部ウェブサイト『けいそうビブリオフィル』 2021年10月8日)
https://keisobiblio.com/2021/10/08/atogakitachiyomi_chizainofrontier2/

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