
書籍名
よく聞く健康知識、どうなってるの?
判型など
292ページ、四六判
言語
日本語
発行年月日
2025年3月28日
ISBN コード
978-4-13-063411-3
出版社
東京大学出版会
出版社URL
学内図書館貸出状況(OPAC)
英語版ページ指定
現代の日本では、テレビやネット、広告などを通じて、健康に関する情報があふれています。「内臓脂肪を減らす○○」「長生きするために○○を食べるな」といったキャッチコピーを日常的に目にします。しかし、これらの情報は本当に正しいのでしょうか? この疑問は、私たちの生活や将来に直結する重要なテーマです。
日本は世界有数の長寿国ですが、健康寿命は平均寿命よりも短く、男性で約9年、女性で約12年の差があります。この期間、多くの人が介護を受けながら過ごし、「ピンピンコロリ」ではなく「ネンネンコロリ」で亡くなる現状があります。こうした背景から、日本人が健康情報に敏感になり、「健康オタク」になるのは自然な流れといえます。
しかし、氾濫する健康情報の中には、科学的根拠が乏しいものや誤解を招くものも少なくありません。そこで重要になるのが「科学リテラシー」です。科学リテラシーとは、単なる知識ではなく、情報を批判的に吟味し、正しいかどうかを判断する「科学的な考え方」を身につけることです。これにより、広告やメディアの情報を鵜呑みにせず、自ら考え、主体的に判断できるようになります。
科学リテラシーを高めるには、研究者が行う思考プロセスを理解することが有効です。例えば、ある食品が「内臓脂肪を減らす」と宣伝されていた場合、研究者はすぐに実験をするのではなく、まず関連する論文や学会情報を調べ、客観的な証拠を集めます。一般の人も、この姿勢をまねることで、情報の真偽を見極める力を養えます。
本書は、こうした科学的な考え方を、一般の方にも身につけてほしいという思いから執筆いたしました。筆者らは東京大学出版会のPR誌『UP』で連載した原稿をもとに、最新の生命科学の知見をわかりやすく紹介しています。取り上げるテーマは、「糖質制限食は本当に効果的か」「コーヒーやお茶は体に良いのか」「運動後のゴールデンタイムは存在するのか」など、身近で誤解されやすい健康情報です。難解な専門用語を避け、科学的根拠に基づいて冷静に議論しながら、生命現象の背景も理解できるよう工夫されています。
本書の学術的意義は、生命科学の知識を社会に広め、科学リテラシーを向上させる点にあります。また、社会的意義は、誤情報に惑わされず、自分や家族の健康を守る判断力を養うことにあります。科学リテラシーは、単なる学問の知識ではなく、現代を生き抜くための必須スキルです。考える力こそが未来を形作る――本書はその第一歩となるでしょう。ぜひ最後まで読み進め、科学的な考え方の面白さを体験してください。
(紹介文執筆者: 総合文化研究科・教養学部 教授 坪井 貴司、寺田 新 / 2025)
本の目次
第I部 食と栄養の「どうなってるの?」
第1章 糖質制限食って優れたダイエット法なの?(寺田)
第2章 タンパク質ってたくさん摂取したほうがよいの?(寺田)
第3章 コラーゲンはお肌にいいってほんと?(坪井)
第4章 グルテンフリーって体によいの?(寺田)
第5章 「体によい油」の正しい使い方は?(寺田)
第6章 トランス脂肪酸ってどのくらい危険なの?(寺田)
第7章 豚しゃぶって夏バテに効くの?(寺田)
第8章 コーヒーやお茶って体によいの?(坪井)
第9章 植物性食品って体によいの?(寺田)/コラム1 健康食品と医薬品って何がどう違うの?
第II部 運動と体の「どうなってるの?」
第10章 ホルモンってなに?(坪井)
第11章 男性ホルモンって毛髪によくないの?(坪井)
第12章 性差ってなんだろう?(坪井)
第13章 どうしてダイエットの後にリバウンドするの?(寺田)
第14章 有酸素性運動で脂肪を使わないと痩せないの?(寺田)
第15章 筋肉痛はどうしておこるの?(坪井)
第16章 トレーニング後のゴールデンタイムって存在するの?(寺田)
第17章 どうして食事を摂ると眠くなるの?(坪井)
第18章 ワクチンはどうやって効くの?(坪井)
第19章 花粉症の薬が記憶に関係するってほんと?(坪井)
第20章 がんは遺伝するの?(坪井)/コラム2 遺伝子検査ってなに?
おわりに(寺田)
関連情報
「その健康情報、本当に正しいですか?」(後半) (東京大学出版会 | note 2025年3月7日)
https://note.com/utpress/n/n2b160257c181
「その健康情報、本当に正しいですか?」(前半) (東京大学出版会 | note 2025年2月26日)
https://note.com/utpress/n/n8e47e172e88b
書評:
竹内薫 評「噓や誇張見抜くリテラシー」竹内薫氏が選ぶ一冊 (『日本経済新聞』 2025年4月17日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD105070Q5A410C2000000/
自著紹介:
「ダイエット後のリバウンドはなぜ起こる?「水しか飲まない」など過酷なダイエットが及ぼす影響は…基礎代謝が予想以上に減るケースも」 (婦人公論.jp 2025年8月28日)
https://fujinkoron.jp/articles/-/18344
「お茶やコーヒーに含まれる「カフェイン」飲酒後のコーヒーを避けるべき理由とは」 (婦人公論.jp 2025年8月27日)
https://fujinkoron.jp/articles/-/18343
「「コラーゲンは肌にいい」は本当?コラーゲンペプチドは体内への吸収がよいだけでなく…」 (婦人公論.jp 2025年8月26日)
https://fujinkoron.jp/articles/-/18342
「近年注目が高まる「タンパク質を多く含む食品」多く摂ることで糖尿病リスク増大などのデメリットも。摂取量の判断には?」 (婦人公論.jp 2025年8月25日)
https://fujinkoron.jp/articles/-/18340
「がんと遺伝はどう関係する?「がん家系」のアンジェリーナ・ジョリーが受けた予防的手術とは?」〔書籍本文一部より抜粋記事〕 (ダイヤモンドオンライン 2025年7月26日)
https://diamond.jp/articles/-/367268
「「焼酎のコーヒー割り」が絶望的にカラダに悪い理由」〔書籍本文一部より抜粋記事〕 (ダイヤモンドオンライン 2025年7月25日)
https://diamond.jp/articles/-/367264
「「タンパク質は体に良い」だけじゃない!?“とりすぎ”の知られざるリスクとは?」〔書籍本文一部より抜粋記事〕 (ダイヤモンドオンライン 2025年7月24日)
https://diamond.jp/articles/-/367261
「記憶力や運動能力の向上、認知症予防も」「摂りすぎると最悪死に至る」カフェインがもつ健康へのプラスとマイナスの効果、では、適量は? (集英社オンライン 2025年6月19日)
https://shueisha.online/articles/-/254267
「飲酒後のコーヒー、焼酎のコーヒー割はオススメできない」実は「医薬品」であるカフェインの摂取のコツと、驚くべき効果 (集英社オンライン 2025年6月18日)
https://shueisha.online/articles/-/254266
「体調が良くなった!」「がん細胞が消えた!」なぜ私たちは身近な経験談を信用してしまうのか…科学的根拠がないグルテンフリー食ブームが教えてくれること (集英社オンライン 2025年6月17日)
https://shueisha.online/articles/-/254265

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