
書籍名
金融政策の理論と実践 動学マクロ経済学アプローチ
判型など
260ページ、A5判
言語
日本語
発行年月日
2026年2月
ISBN コード
978-4-535-54129-0
出版社
日本評論社
出版社URL
学内図書館貸出状況(OPAC)
英語版ページ指定
金融政策に大きな注目が集まっています。
日本では新型コロナ危機をきっかけに、それまで30年以上もの長きにわたって続いてきた低インフレ・低金利の時代の幕が閉じ、本紹介文執筆時点ではインフレ率が政策目標率である2%を上回る水準で推移しています。そして、日本銀行が政策金利を今後どの程度、どのようなペースで引き上げていくかに関心が集まっています。物価・金融政策を決定する日本銀行の動向に関する話題は、毎日のようにニュースで取り上げられています。
本書では、金融政策をより体系的に理解したい方々のために、政策関係者や研究者たちが行う金融政策分析で定着しており、現実の金融政策思想・哲学にも大きな影響を与えてきた動学マクロ経済モデルに基づくさまざまな理論を、政策現場との関係もふまえて実践的に紹介していきます。
筆者は、2012年から2020年までアメリカの中央銀行制度であるFRB (連邦準備制度理事会) のマクロ経済モデル・チームに所属し、さまざまな学術的・実務的な金融政策分析を行ってきました。その経験を通して、理論的な分析が実際の金融政策の意思決定にどのように貢献しているのか、金融政策運営を支配する思想・哲学にどのように影響を与えてきたのかを間近で観察することができました。その経験を活かして、マクロ経済モデルに基づいた理論を紹介するだけでなく、その理論がどのようにFRBの政策と関係しているかについても解説します。
本書の構成は、以下の通りです。
まずは第1章でこの本で何度も登場する動学マクロ経済モデルである「ニューケインジアン・モデル」の紹介をします。そのうえで、定常状態に関する分析と、モデルを使った簡単なシミュレーションを行ってみたいと思います。
第2~5章では、2008年12月から2015年12月までの7年間のゼロ金利制約に直面した時期に、FRBが常に考え続けなければならなかった、「いつまで金利をゼロに据え置くべきか?」という問いを考える際に活躍した理論を中心に解説します。第6、7章では、2016年1月から2020年3月までの「政策金利が正だけれども低いレベルだった時期」の政策課題、そして2019年に始まったFRBの金融政策に関する戦略レビューと、その結果として2020年8月に導入された「平均インフレ目標」、またそこで活躍した理論を解説します。
そして第8、9章では、コロナ後のインフレ上昇に対応するためのFRBの金融政策を理解するうえで重要な、コストプッシュ・ショックの理論とインフレ・バイアスの理論という2つの理論を紹介します。
最後に終章では、金融政策運営を考えるうえで特に重要な知見を与えてくれる理論研究とはどのようなものか、その方向性に関する展望と、モデル分析を政策に活用する際に留意すべき点は何かについて考えます。
FRBでは経済分析を行う際に動学マクロ経済モデルを頻繁に使用します。本書では、金融政策分析でよく用いられるマクロ経済モデル、そしてFRBの金融政策運営の裏付けとなる理論を学ぶだけでなく、モデル分析が実際に政策現場でどのように活用されているかについても詳細にお伝えすることも目的としています。また、公開されている具体的なモデル分析例もいくつか紹介します。金融政策以外にも、数理モデル分析が政策判断の材料になる分野は多々あると思います。FRBにおける数理モデル活用の実例は、そういった他の政策における数理モデル分析の活用を考える際にも参考としていただけるのではないかと考えています。
(紹介文執筆者: 経済学研究科・経済学部 / 公共政策大学院 教授 仲田 泰祐 / 2026)
本の目次
第1章 ニューケインジアン・モデルの基礎と応用
第2章 ゼロ金利制約下の財政政策
第3章 政策金利のフォワードガイダンス (1):
最適裁量政策と最適コミットメント政策
第4章 政策金利のフォワードガイダンス (2):
金融政策ルール
第5章 最適コミットメント政策に対する4つの懸念
第6章 ゼロ金利制約と不確実性
第7章 2019~2020年の戦略レビューと平均インフレ目標枠組みの導入
第8章 コロナ危機後のインフレ上昇 (1):
コストプッシュ・ショック理論
第9章 コロナ危機後のインフレ上昇 (2):
インフレ・バイアスの理論
終 章 金融政策理論のこれから:今後の展望と政策現場での活用に向けて
付録A ニューケインジアン・モデルの詳細
付録B ニューケインジアン・モデルの近似
関連情報
COVID-19感染症拡大期における医療と経済活動の両立のためのシミュレーション (公益財団法人KDDI財団ホームページ 2024年)
https://www.kddi-foundation.or.jp/interview/award/2024/interview02.html
書籍紹介:
話題の本わしづかみ 一冊散策(経済) (『Web評論日本』 2026年2月6日)
https://www.web-nippyo.jp/54838/
FRBで政策の最前線を見てきた著者が、生きた理論を伝える~仲田泰祐『金融政策の理論と実践』【はしがき & 序章 を公開!】~ (経済セミナー編集部 | note 2026年1月22日)
https://note.com/keisemi/n/nd6fe7b07480a

書籍検索


eBook