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書籍名

管見 最高裁判所

著者名

宇賀 克也

判型など

390ページ、A5判、上製カバー付

言語

日本語

発行年月日

2026年5月29日

ISBN コード

9784641126718

出版社

有斐閣

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管見 最高裁判所

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本書は、著者が、最高裁判所裁判官として勤務した経験に基づく回顧録である。38年間にわたり、東京大学法学部に勤務し、行政法の研究教育に携わってきた著者は、還暦を過ぎてから、裁判実務という異なる世界に転職することになり、少なからぬカルチャーショックを受けたが、長年、研究者として勤務してきたというバックグラウンドがあったからこそ、若い頃から裁判官の世界で勤務してきたキャリア裁判官には当然と思われることに疑問を抱くことが稀でなく、本書で、具体的な改善策を提言している。たとえば、上告不受理決定について、著者が所属していた第三小法廷では、不受理とするか否かについて判断が分かれた場合には、受理すべきとする裁判官の氏名を挙げて、その裁判官を除き全員一致で不受理とすると表記する慣行になっており、受理すべきとする理由を記載することは認められていないが、本書では、一人でも不受理に反対する裁判官がいれば、受理して、個別意見を書けるようにするのが、制度の本来の趣旨に合致すると述べている。また、最高裁で審議する事件については、事前に最高裁判所調査官が、報告書を作成し、事案の概要、事件の争点、裁判例や学説の動向を整理するほか、担当調査官自身の意見及び処理方針まで記載する慣行になっているが、本書では、それでは、担当調査官の意見の影響力が大きくなりすぎるおそれがあるため、当該事件の一審判決や控訴審判決等の判例評釈及び当該事件について専門家から提出された意見書を調査官報告書に添付して裁判官が確実にそれらを読み、担当調査官の意見と異なる意見に接することができるようにすること、調査官報告書においては、複数のあり得べき解釈の提示にとどめ、調査官個人の意見や処理方針まで書かせないようにすること、さらに、現在、すべての最高裁判所裁判官がキャリア裁判官から選ばれているが、学者や弁護士も最高裁判所調査官に加えることにより、調査官室内の議論の多様化を図るべきこと等が提言されている。また、最高裁判所ではすべての事件がまず小法廷に分配され、違憲の疑いがあったり、判例変更の必要性を議論する必要がある場合には、大法廷に回付することになるが、5人からなる小法廷では、過半数の3名が大法廷回付に賛成しないと大法廷で審理されないことになる。本書では、これを「小法廷の壁」と称しており、どの小法廷に事件が分配されたかの偶然により大法廷回付が可能になるかが左右されうるため、一人でも大法廷回付を希望すればそれが可能になるような制度改正も提言している。
 
本書の第2部では、著者が個別意見を執筆した判決・決定について、事案の概要、判旨、著者の個別意見に加えて、著者の解説を加えている。
 

(紹介文執筆者: 法学政治学研究科・法学部 名誉教授 宇賀 克也 / 2026)

本の目次

第1部 管見 最高裁判所
 はじめに
  1 学者出身者から見た最高裁/2 説明責任/3 評議の秘密との関係
 第1章 最高裁判事就任前と就任直後
  1 最高裁判事への就任のお誘い/2 研究室からの書籍の搬出/3 最高裁判事経験者からのご助言等/4 最高裁判事への就任
 第2章 最高裁における審議
  1 最高裁が扱う事件/2 事件の分配・担当/3 裁判官の忌避・回避/4 事件の審議
 第3章 最高裁を構成する人と組織
  1 最高裁判所裁判官/2 最高裁判所調査官/3 事務総局と附属機関/4 秘書官
 第4章 裁判以外の活動
  1 裁判官会議/2 長官所長会同/3 出 張/4 図書館委員会/5 裁判所内外のコミュニケーション/6 宮内庁・皇室との関係
 おわりに
  1 法律問題への関心の拡大/2 自然科学に関する判断/3 集大成としての最高裁の判断

第2部 個別意見
  I 憲  法
     個人の尊重(その1)──性自認
1 未成年の子なし要件(最三小決令和3年11月30日)〈反対意見〉
2 生殖不能要件(最大決令和5年10月25日)〈反対意見〉
3 経済産業省トイレ事件(最三小判令和5年7月11日)〈補足意見〉
     個人の尊重(その2)──夫婦別姓
4 婚姻届不受理処分(最大決令和3年6月23日)〈反対意見〉
     平等原則(その1)──社会保障給付
5 児童扶養手当(最三小判令和7年6月10日)〈反対意見〉
     平等原則(その2)──一票の格差
6 令和元年参議院議員選挙(最大判令和2年11月18日)〈反対意見〉
7 令和3年衆議院議員選挙(最大判令和5年1月25日)〈反対意見〉
8 令和4年参議院議員選挙(最大判令和5年10月18日)〈反対意見〉
9 千葉県議会議員選挙(最三小判令和7年1月28日)〈反対意見〉
     法律上の争訟
10 地方議会議員出席停止処分(最大判令和2年11月25日)〈補足意見〉
     個別の基本権(その1)──集会の自由
11 金沢市庁舎事件(最三小判令和5年2月21日)〈反対意見〉
     個別の基本権(その2)──適正手続
12 青色申告承認取消処分(最三小判令和6年5月7日)〈反対意見〉
     個別の基本権(その3)──裁判を受ける権利
13 死刑確定者による口頭弁論期日への出席(最三小決令和5年9月27日)〈補足意見〉

  II 行政法
     行政法規の解釈適用
14 原爆症認定申請却下処分取消請求(最三小判令和2年2月25日)〈補足意見〉
     地方自治(その1)──是正の指示の取消訴訟
15 辺野古さんご類移植特別採捕許可(最三小判令和3年7月6日)〈反対意見〉
     地方自治(その2)──住民訴訟
16 政務活動費返還請求(最三小判令和3年12月21日)〈補足意見〉
     行政法の法理(その1)──通達の性質
17 所得税基本通達(最三小判令和2年3月24日)〈補足意見〉
     行政法の法理(その2)──違法行為の転換
18 間接補助金の交付を受けた事業者による財産処分の承認(最三小判令和3年3月2日)〈補足意見〉
     行政法の法理(その3)──国家賠償責任の性質
19 国家賠償法1条2項の規定に基づく求償権(最三小判令和2年7月14日)〈補足意見〉
     情報公開・保有個人情報開示
20 刑事施設における診療録の開示請求(最三小判令和3年6月15日)〈補足意見〉
21 預託法違反に係る調査結果報告書等(最三小判令和4年5月17日)〈補足意見〉
22 警察庁保有個人情報管理簿(最三小判令和7年6月3日)〈意見〉
23 機能性関与成分検証事業報告書(最三小判令和7年6月6日)〈補足意見〉
     行政争訟(その1)──処分性および教示
24 被扶養者非該当通知(最三小判令和4年12月13日)〈反対意見〉
     行政争訟(その2)──原告適格
25 納骨堂経営許可および施設変更許可処分(最三小判令和5年5月9日)〈意見〉
     行政争訟(その3)──行政裁量の審査
26 懲戒免職処分および退職手当支給制限処分(最三小判令和5年6月27日)〈反対意見〉
27 生活扶助支給額変更決定(最三小判令和7年6月27日)〈反対意見〉
     行政争訟(その4)──仮の差止め
28 タクシー事業運賃変更命令(最三小決令和7年2月26日)〈反対意見〉
     行政争訟(その5)──当事者訴訟における確認の利益
29 臨時会召集決定を行う義務の確認請求(最三小判令和5年9月12日)〈反対意見〉
     行政争訟(その6)──違法確認の当事者訴訟
30 最高裁判所裁判官の国民審査(最大判令和4年5月25日)〈補足意見〉

  III 民事実体法
     除斥期間と消滅時効
31 旧優生保護法(最大判令和6年7月3日)〈意見〉

  IV 労働法
     同一労働同一賃金
32 メトロコマース事件(最三小判令和2年10月13日)〈反対意見〉

  V 民事訴訟法関係事件
     文書提出命令に対する許可抗告
33 北海道大学事件(最三小決令和2年3月24日)〈補足意見〉
     民事執行費用
34 費用額確定処分の排他性(最三小判令和2年4月7日)〈補足意見〉
     間接強制
35 子の引渡しの強制執行の申立て(最三小決令和4年11月30日)〈補足意見〉

  VI 刑事法
     刑事再審請求
36 袴田事件(最三小決令和2年12月22日)〈反対意見〉
37 名張ぶどう酒事件(最三小決令和6年1月29日)〈反対意見〉
38 大崎事件(最三小決令和7年2月25日)〈反対意見〉
 

関連情報

著者インタビュー:
判例を出発点にせず、多角的に 個別意見、説明責任果たす一端 「管見 最高裁判所」の著者・宇賀克也さん (『北海道新聞』 2026年10月11日)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1387928/
 
「違憲」「すぐ再審を」 最高裁で反対意見を書き続けた判事の6年間 (『朝日新聞』 2025年8月29日)
https://www.asahi.com/articles/AST8T11F4T8TUTIL01KM.html
 
「裁判所法で定められた義務」 40件の個別意見を書いた宇賀克也・元最高裁判事が語る公的記録の意義 (『弁護士ドットコム』 2026年7月31日)
https://www.bengo4.com/c_18/n_20659/
 
特集ワイド 「学究の人」元最高裁判事・宇賀克也さんが見た司法 反対意見が未来を切り開く (『毎日新聞』 2025年11月28日)
https://mainichi.jp/articles/20251128/dde/012/040/025000c
 
書評:
橋本基弘 (中央大学教授) 評「今週の書評」 (『週刊読書人』 2026年8月28日)
https://dokushojin.net/news/1459/
 
山中季広 評「「管見 最高裁判所」書評 法服6年、熱い個別意見で脚光」 (『朝日新聞』 2026年7月25日)
https://book.asahi.com/article/16753484
 
書籍紹介:
A2Z-PickUp Books (『会社法務A2Z』VOL2026-10 2026年9月25日)
https://www.daiichihoki.co.jp/store/products/detail/105350.html
 
担当編集から「Book Information」 (『法学教室』No.550 2026年7月)
https://www.yuhikaku.co.jp/static_files/BookInfo202607-12671.pdf
 
関連記事:
市民に寄り添い「例見ない足跡」元最高裁判事、日弁連関連団体が表彰 (『朝日新聞』 2025年12月18日)
https://www.asahi.com/articles/ASTDK1D0FTDKPTIL00HM.html
 
「婚姻と家族の現在、そして、これからを照射する―宇賀克也裁判官の反対意見を読む」西山千絵さん(琉球大学大学院法務研究科准教授) (『法学館憲法研究所』ホームページ 2025年10月14日)
https://www.jicl.jp/articles/opinion_20251014.html
 
「ラディカルな王道―宇賀克也裁判官の反対意見を読む」 大河内 美紀さん(名古屋大学大学院法学研究科教授) (『法学館憲法研究所』ホームページ 2025年9月24日)
https://www.jicl.jp/articles/opinion_20250924.html
 
関連動画:
選択的夫婦別姓制度について、宇賀克也元最高裁判所判事に聞いてみました!|日弁連| (NICHIBENREN TV - 日弁連公式動画チャンネル | YouTube  2025年10月28日)
https://www.youtube.com/watch?v=6x5EXM90L5w
 

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