東京大学教員の著作を著者自らが語る広場

白い表紙にカラフルな6つの花模様

書籍名

多様な視点からジェンダーを見る 東大オムニバス講義13講

判型など

240ページ、A5判

言語

日本語

発行年月日

2025年9月19日

ISBN コード

978-4-13-053038-5

出版社

東京大学出版会

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多様な視点からジェンダーを見る

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東京大学多様性包摂共創センター (IncluDE) ジェンダー・エクイティ推進オフィス (旧・男女共同参画室) では、2022年度より学部1-2年生 (前期課程) 向けにジェンダー関連講義を開講している。2022年度・2023年度の講義内容をもとに、大学生向け教科書として本書は出版された。このジェンダー関連講義は、オムニバス形式で構成されており、東京大学のさまざまな学部・研究科・研究所に所属する教員を中心に、学外の講師も迎え、それぞれの専門領域の視点や切り口からジェンダーに関連したトピックを取り上げた、多様性に富んだ内容となっている。本書は、まえがき・あとがきを除き全13講から構成されている。東京大学のD&I (ダイバーシティ&インクルージョン) の理念とダイバーシティ教育の推進を背景に本書は出版された。授業の特徴を反映した射程の幅広さに加え、分野や視点の異なる執筆者の多様な立場からの議論を通して、ジェンダーが理論から実践まで多岐にわたるテーマであることを実感していただける内容となっている。
 
各講で扱うトピックは実に多様である。ジェンダー概念の基礎理論や歴史的展開を確認するところから始まり、国際比較、労働市場における男女格差、言語とバイアス、学校教育のジェンダー問題を取り上げている。続いて、宗教学、科学史、ポピュラーカルチャー論、高等教育論といった各分野からジェンダーについて論じ、ケア労働と再分配の問題にも踏み込むなど、多領域にわたるテーマが論じられている。さらに、LGBTQ+当事者のパーソナルヒストリーを通じた語りの章や、不妊や月経といった、生物学的性差と社会的性差が交差する論点にも光を当て、今日的に重要な課題を丹念に検討している。
 
各講では、それぞれの専門分野に立脚しながら、具体的事例を通して議論が展開される。ジェンダーをめぐる問題が、制度や文化、権力関係と深く結びついていることが明らかにされる。また、本書は学術的知見をわかりやすく提示するだけでなく、読者に新たな気づきをもたらす契機を提供する点にも意義がある。講義形式を活かした構成により、各講の末尾には【考えてみよう】と題した問いが設けられ、さらに学びを深めたい読者のために参考文献も示されている。こうした工夫を通して、主体的な思考をうながす内容となっている。大学生はもとより、初学者にとっても有益な示唆をもたらす内容になっている。筆者は、本書の編者3人のうちの1人として各章の編纂及び第1講の執筆を担当した。編集過程において、編者、監修者とともに各分野の最新の知見に接する機会を得たことは、きわめて有意義であった。
 
ジェンダーをめぐる議論が社会的関心を集める今日、本書は、多様な視点を往還しながら、ジェンダー平等の実現に向けた思考の土台を築く一冊である。
 

(紹介文執筆者: 多様性包摂共創センター 特任准教授 小川 真理子 / 2026)

本の目次

まえがき――編者を代表して(伊藤たかね:東京大学副学長(ダイバーシティ教育、SOGI多様性)/東京大学多様性包摂共創センター長)

第1講 ジェンダーの基礎概念と日本における男女共同参画社会の課題(小川真理子:東京大学多様性包摂共創センター特任准教授/ジェンダー・エクイティ推進オフィス副オフィス長)

第2講 国際比較で見た日本のジェンダー(本田由紀:東京大学大学院教育学研究科教授)

第3講 労働市場のジェンダー・ギャップ(谷口智穂:東京大学大学院経済学研究科特任研究員、山口慎太郎:東京大学大学院経済学研究科教授)

第4講 言語とジェンダー(伊藤たかね)

第5講 学校教育におけるジェンダー(浅井幸子:東京大学大学院教育学研究科教授、日比健人:東京大学教育学部附属中等教育学校保健体育科教諭)

第6講 宗教とジェンダー(藤原聖子:東京大学大学院人文社会系研究科教授)

第7講 ジェンダーから見た不妊(小西祥子:東京大学大学院医学系研究科准教授)

第8講 スポーツとジェンダー(能瀬さやか:ハイパフォーマンススポーツセンター、国立スポーツ科学センタースポーツ医学研究部門産婦人科医)

第9講 誰もが暮らしやすい社会をつくるには――LGBTQ+に関する取り組みやムーブメントから学ぶ(松中 権:認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ代表/東京大学総長室アドバイザー)

第10講 科学史とジェンダー(隠岐さや香:東京大学大学院教育学研究科教授)

第11講 ポピュラーカルチャーを通じてジェンダー観を変えられるか(板津木綿子:東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授)

第12講 なぜ東大は男だらけなのか?(矢口祐人:東京大学大学院総合文化研究科教授/東京大学グローバル教育センター長)

第13講 ケアするのは誰か?――再生産費用の分配問題をめぐって(上野千鶴子:東京大学名誉教授/認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長)

あとがき――未来のジェンダー平等社会をつくっていくみなさんへ(林 香里:東京大学理事・副学長(国際、ダイバーシティ&インクルージョン)/東京大学大学院情報学環教授)
 
 

関連情報

書籍紹介:
おすすめ本1月 (港区立男女平等参画センターリーブラ (図書資料室) 2026年1月)
https://www.minatolibra.jp/book20260101/
 
講義:
2025年 開講
多様な視点からジェンダーを見る(学術フロンティア講義) (UTokyo Channel 2025年)
https://ch.u-tokyo.ac.jp/series/?id=gZx16d8MFT7J
 
多様な視点からジェンダーを見る(学術フロンティア講義)
第1回 | イントロダクション
https://ch.u-tokyo.ac.jp/content/?id=VJuX9A8BnIvH
 
多様な視点からジェンダーを見る(学術フロンティア講義)
第2回 | 国際比較からみたジェンダー
https://ch.u-tokyo.ac.jp/content/?id=P4azi8L9bX21
 
多様な視点からジェンダーを見る(学術フロンティア講義)
第3回 | こころの健康とジェンダー
https://ch.u-tokyo.ac.jp/content/?id=ybWnHfxPzKXK
 
多様な視点からジェンダーを見る(学術フロンティア講義)
第4回 | 渋谷区から10年。基礎自治体における、LGBTQを包摂したジェンダー平等施策の現状
https://ch.u-tokyo.ac.jp/content/?id=vpDMSZmuhMjR
 
多様な視点からジェンダーを見る(学術フロンティア講義)
第6回 | 感覚の歴史とジェンダー
https://ch.u-tokyo.ac.jp/content/?id=R2QaqEXbbHE5
 
イベント:
出版記念イベント (オンライン) (東京大学多様性包摂共創センター ジェンダー・エクイティ推進オフィス 2025年10月9日)
https://www.u-tokyo.ac.jp/kyodo-sankaku/ja/news/s0902_00004.html
 
 

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