東京大学教員の著作を著者自らが語る広場

シルバーグレーの表紙

書籍名

Z世代化する社会 お客様になっていく若者たち

著者名

舟津 昌平

判型など

314ページ、四六判、並製

言語

日本語

発行年月日

2024年4月17日

ISBN コード

9784492224175

出版社

東洋経済新報社

出版社URL

書籍紹介ページ

学内図書館貸出状況(OPAC)

Z世代化する社会

英語版ページ指定

英語ページを見る

「Z世代」と呼ばれる人たちがいます。このBiblioPlazaが想定している読者層が当てはまる年齢かもしれません。若者は古今東西周囲の目を引くらしく、古代エジプトの壁画にも「近頃の若者は…」と書いてあったという話がまことしやかに世間に伝えられています。ちなみにこの話は「ウソ」だそうです。
 
Z世代について調べてみると、環境意識が高いであるとか、エシカル (倫理的な) 消費を好むといった特徴をもつと述べられています。ところが筆者が接する学部生らに問うてみても、同様の性質をもっているという答えはあまり返ってきません。いったい、何が「本当の」若者の性質なのでしょうか。
 
本書は、次のような仮説をもとに展開されます。「もし、何か奇異な性質が若者において観察されるとしたら、それは周囲の外的な影響を受けたことによる」。そして、「若者がそういう性質を得た原因が外的な影響にあるのならば、若者ではない大人も、早晩同様の性質を得ていく」。たとえば、「Z世代はコスパを重視する」という言説がよく聞かれます。コスパはコストパフォーマンスの略語です。だから映画を2倍速でみるのだとか、まどろっこしいから「無駄な努力」を避けて答えだけ欲しがる、といった行動をとるのだと説明されます。
 
仮に若者がコスパを求めることが真だとして、それはなぜなのでしょうか。周りが求めたからではないでしょうか。自分の興味のあることを勉強していたら、それは受験に出ないでしょ、と叱られたとか。部活動に熱中していたら、そんな役に立たないことをして就職活動に支障がでたらどうするんだ、とどやされたとか。そうやって目的効率化することを大人が求めたからこそ若者がそうなったとは、考えられないでしょうか。
 
本書では、若者を「若者たらしめるもの」に着眼し、高校までの学校や大学、就職活動、会社といった周囲の環境が、どのように若者に影響を与えているかについて分析しています。本書が既存の若者論に比して特徴的である点としては、会社をはじめとして「ビジネス」に着眼していることが挙げられます。就職活動は、ビジネスを営む主体としてのエージェントを介在せずには成立しませんし、大学組織は「経営」を求められ、主要な財源である学費を供出する学生 (と保護者) を「お客さま」とみなすようになっています。そのようにビジネス上の関係を前提としたとき、学校・大学と学生、企業と若手社員の行動はどのように影響され、影響しあうか。本書はそうした視点から、現代の大学や就職活動、会社のあり方について考察しています。
 
本書の中心的なテーマに比すると副次的ですが、マルチ商法のような「怪しいビジネス」に従事する若者についても調査し、分析しています。なぜ学生たちが、しかも真面目で意欲や能力もあるようにみえる学生が、怪しいビジネスに没入していくのかといった現代的なテーマも扱っています。本書が、「若者」なるものを考える際の一助になれば幸いです。
 

(紹介文執筆者: 経済学研究科・経済学部 講師 舟津 昌平 / 2025)

本の目次

はじめに──Z世代を語る意味
第1章 Z世代の住処──SNS、学校、友達、若者世界のリアリティ
第2章 消費の主役・Z世代──経営者化する社会
第3章 唯言が駆動する非倫理的ビジネス──開かれたネットワークの閉じられたコミュニティ
第4章 劇的な成長神話──モバイルプランナーのアナザーストーリー
第5章 消えるブラック、消えない不安──当たりガチャを求めて
第6章 不安と唯言のはてに──われわれに何ができるのか
おわりに
 

関連情報

著者インタビュー:
わたしたちの眠れない夜: 大人になれない若者たち/舟津昌平×ニクヨ (『flier』 2026年1月12日)
https://www.flierinc.com/channel/series/188/movie/364
 
わたしたちの眠れない夜: Z世代化する社会/舟津昌平×ニクヨ (『flier』 2026年1月11日)
https://www.flierinc.com/channel/series/188/movie/363
 
第3回 現代人はなぜ失敗したくないのか 「Z世代化する社会」著者に聞く (『朝日新聞』 2026年1月5日)
https://www.asahi.com/articles/ASTDY2C1XTDYUCVL019M.html
 
「Z世代化する社会」著者の舟津さんに訊く「Z世代は存在するのか?」 (三人が訊く会 | YouTube 2025年12月12日)
https://www.youtube.com/watch?v=lKpZm-y1w30
 
New Workstyle: Z世代や若手人材の創造性を引き出し、活躍を促すには (『NTT Facilities Journal』digital 2025年7月3日)
https://www.ntt-f.co.jp/ntt-fjd/newworkstyle/0048/
 
会社は若者に迎合しすぎている?専門家に学ぶ「Z世代×労働」【対談要約/舟津昌平さん】 (弁護士 倉重公太朗の『企業労働法』ゼミ | YouTube 2024年12月14日)
https://www.youtube.com/watch?v=PdhLVqTvfP8
 
ニュースタ: 「もっと地に足つけて、Z世代の話しません?」 |『Z世代化する社会』著者・舟津昌平さんインタビュー (『New Standard』 2024年9月20日)
https://new-standard.co.jp/posts/19040
 
「そんなのどうでも良くない?」Z世代の不安について、東大講師・舟津昌平さんに聞いてみた (『TABI LABO 2024年9月20日』
https://tabi-labo.com/310090/interview-genz-anxiety
 
悩めるZ世代に贈る本: 舟津昌平 Z世代とは日本社会を映す「鏡」である (『日経BOOK PLUS』 2024年7月19日)
https://bookplus.nikkei.com/atcl/column/071100393/071100001/
 
著者インタビュー「Z世代化する社会」舟津昌平氏 (『日刊ゲンダイ』Digital 2024年6月27日)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/356739
 
PIVOT TALK BUSINESS 前編: Z世代は社会の写し鏡 (『PIVOT』 2024年6月14日)
https://pivotmedia.co.jp/movie/11793
 
PIVOT TALK BUSINESS 後編: 若者はどう生きるか (『PIVOT』 2024年6月14日)
https://pivotmedia.co.jp/movie/11794

Z世代就活生にはなぜ「副サークル長」が多いのか
『Z世代化する社会』舟津昌平氏に聞く (『東洋経済』ONLINE 2024年6月2日)
https://toyokeizai.net/articles/-/757917

書評:
おすすめの一冊 (『courageサプリ』メールマガジン4031号 2025年3月9日)
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/13493/
 
今読むべき本はコレだ! おすすめビジネスブックレビュー第72回: 土屋勝 評「Z世代は我々の社会の写像である」 (PC-Webzine 2024年10月9日)
https://www.pc-webzine.com/article/2369
 
使える読書:「若者から社会変化読み解く」 (『日本経済新聞』 2024年10月9日)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO83972240Y4A001C2H24A00/
 
本よみうり堂: 佐藤義雄 (住友生命保険特別顧問) 評「不安を抱く若者 今の「写像」」 (『読売新聞』オンライン 2024年6月28日)
https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/reviews/20240624-OYT8T50011/
 
【KEI Book Club 書評】 (『KEIHER』online 2024年5月24日)
https://keiher.com/z-generation/

講演:
舟津昌平氏講演「Z世代化する社会を読み解く」 (慶應MCC クロシング | YouTube 2026年2月26日)
https://www.youtube.com/watch?v=dWeKOLzH1K0
https://www.keiomcc.com/magazine/sekigaku275/
 
出版記念シンポジウム「経営学は実務に必要か?――いま学者が本を書く意義 (関西学院大学イノベーションシステム研究センター・イノベーション研究会 2024年5月21日)
https://sites.google.com/view/scholars-book
 

このページを読んだ人は、こんなページも見ています