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黒い表紙に鳥の写真

書籍名

In Vitro? In Vivo! 写真家 立木義浩 × 東京大学

著者名

関岡 裕之 (監修)、 立木 義浩 (写真)

判型など

127ページ

言語

日本語、英語

発行年月日

2024年10月25日

ISBN コード

9784910734064

出版社

東京大学総合研究博物館

出版社URL

書籍紹介ページ

学内図書館貸出状況(OPAC)

In Vitro? In Vivo!

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In Vitroは試験管内での反応を、in Vivoは生体内での反応を表す、生理学の言葉である。
 
個人的にインターメディアテクの写真を撮らせてほしい。写真家・立木義浩がこう連絡してきたことから企画は始まった。最初は休館日に数時間で撮影しきるつもりだったという。だが、ファインダーを通して見れば見るほど、あれもこれも撮りたいという気持ちが湧いたのだろう。撮影は何回にも及んだ。さらに、インターメディアテクのみならず、本郷の本館にも足を運び、研究者の協力のもと、収蔵品までもが撮影対象となった。
 
こうして撮りためた写真を博物館スタッフが見たとき、「え? こんなものあったっけ?」の声がもれた。自分たちが収蔵、あるいは展示している標本なのだから、当然ながら目にしているはずのものだ。だが、それがアングルや光線を変え、写真家の目を通して切り取られると、全く異なる顔を見せる。立木氏の目とレンズを通した標本の姿はそれほどに新鮮だったのだ。
 
最初は、個人的な写真という依頼だった。こちらも、広報用に1枚でも使わせてもらえれば、くらいのつもりだった。だが、実際の写真を見て欲が出た。この写真をインターメディアテクに展示してみたらどうなるか。構想は次の段階に進んだ。
 
実際の標本がある空間に、その標本を撮影した写真を展示するーー考えてみれば倒錯的な企画だ。だが、それは3次元の標本を2次元に落とし込んだ「表現」でもある。また、他人の目を通して風景を見るという、リアルには不可能な体験を提供するものでもある。来館者は写真を見た上で改めて展示を見直し、新たな標本の見方を追体験することもできるだろう。インターメディアテクは大半の標本が撮影可能なので、自分でも撮ってみるという実験もできるだろう。
 
なにより、普段はin Vitroすなわち収蔵庫に押し込められた標本たちが、in Vivoすなわち展示空間に解き放たれ、観覧者の間に息づいている姿を写真に収めた作品でもある。コーディネイターとして付き添っていた中川氏は、撮影中の立木氏は「人物写真を撮影しているのと同じ顔をしていました」と後に述べた。それが、人物写真を得意としてきた写真家が被写体と向き合う時の眼差しであったのかもしれない。
 
この写真はいわゆる「ブツ撮り」である資料写真とは異なり、展示空間に収まった標本の姿、いわば「博物館の一員としてそこにいる姿」を捉えている。その意味では標本を生き物として捉えた写真と言っても良い。それは街角の人々のスナップにも似て、標本に新たな生命を吹き込む結果となったのである。
 

(紹介文執筆者: 総合研究博物館 特任准教授 松原 始 / 2025)

本の目次

はじめに 西秋良宏
展示物は喋りはしないが物を言う 立木義浩
写真展という名の博物館展へ 関岡裕之
「ヌード」の頃からーー立木義浩によせて 西野嘉章
始まりから終わりまで 中川理子
作品集
 

関連情報

特別展示:
特別展示『in Vitro? in Vivo! – 写真家 立木義浩 ✕ 東京大学』 (東京大学総合研究博物館 24年10月26日~2025年1月9日)
https://www.intermediatheque.jp/ja/schedule/view/id/IMT0280
 
講演:
「もの語り—写真と博物誌」
講師:立木義浩(写真家)、池谷修一(写真編集者)、関岡裕之(東京大学総合研究博物館 特任准教授)、松原始(東京大学総合研究博物館 特任准教授) (東京大学総合研究博物館 2024年11月10日)

「フォトアート&サイエンス—立木義浩の蘇らせる死物の世界」
講師:立木義浩(写真家)、西野嘉章(東京大学名誉教授) (東京大学総合研究博物館 2024年12月8日)
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/events/z0301_00036.html
 
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