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紫色の表紙に天皇の絵

書籍名

北朝天皇研究の最前線

著者名

遠藤 珠紀、 水野 智之 (編)、 日本史史料研究会 (監修)

判型など

288ページ、B6変形判

言語

日本語

発行年月日

2023年11月24日

ISBN コード

978-4-634-15240-3

出版社

山川出版社

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北朝天皇研究の最前線

1333年、鎌倉幕府が滅亡し、後醍醐天皇による建武の新政が始まりました。しかし、やがて後醍醐天皇と、討幕の立役者の足利尊氏が仲たがいをします。後醍醐天皇は吉野に逃れ、尊氏は新たに光厳上皇を治天の君とし、光明天皇を天皇とします。以後、天皇が南朝と北朝それぞれに存在することになりました。南北朝時代と呼ばれる14世紀を通じて、日本は戦争が続きました。この南北朝の動乱は、日本史の教科書でもご覧になったことがあるでしょう。日本の社会の在り方が大きく変化した画期となる時代でもあります。
 
北朝は古くは室町幕府の傀儡というイメージで、あまり注目されていませんでした。しかし特に21世紀以降、南朝・室町幕府の研究とともに、北朝自体の研究も進んできています。各天皇の事績、南朝との関係、室町幕府との関係、また北朝の制度、内部の人々、文化。本書ではそうした様々な側面に注目し、12人の研究者が研究成果をわかりやすく紹介しています。
 
第一部では北朝の天皇の系譜をたどりました。なぜ皇統が分裂していたのか (1章)、北朝の性格がわかる代表的な訴訟法について (2章)、北朝内の国制や皇統の分裂と統合 (3章)、天皇と室町殿の関係 (4章)、北朝の中でも分裂していた皇統とその正統性について (5章) が検討されています。
 
第二部は北朝を支えた足利将軍と廷臣がテーマになっています。北朝は室町幕府の傀儡政権だったのか (6章)、南北朝合一後の天皇と将軍の関係 (7章)、長年北朝の関白を勤めた二条良基について (8章)、組織を支えた実務官僚について (9章) に注目しました。
 
第三部では、少し視点を変え、宗教や文化の側面から、北朝をめぐる論点を提示しています。青蓮院門跡を通じて当該期の寺院社会を探る10章、11章では天皇の追善供養と音楽の関係を紐解きます。そして最後の12章では歴史上、南朝・北朝のいずれが正統とみなされてきたかという南北朝正閏論を取り上げています。
 
このように多様な視点で、北朝と取り組みましたが、ここでは、本書で取り上げた天皇八代の範囲についてもご紹介したいと思います。通常、北朝の初代は光厳天皇とされます。光厳天皇は、元弘の変ののちに即位したものの、後醍醐天皇が鎌倉幕府を倒し復権しますと、その即位はなかったこととされました。南北朝の分立にあたっては、治天の君として光明天皇を即位させます。こうした流れからも、北朝としては光厳天皇を0代とし、光明天皇を初代としました。
 
また終わりを、南北朝分裂が一応の解決を見た後小松天皇ではなく、後花園天皇までとしました。実は北朝天皇家も一枚岩ではありません。正平の一統が破綻した時、光厳・光明・崇光の3上皇は南朝に連れ去られました。そのため北朝では、崇光の弟を後光厳天皇として擁立します。以後、崇光天皇の子孫と後光厳天皇の子孫で皇統争いが生じました。この対立の影響も近年注目されています。本書が後花園天皇までを取り上げているのは、この時に皇統対立が解消されたことを重視したためです。動乱の時代の中で、翻弄されつつも正統性を確立しようとする北朝の人々の活動にご注目ください。

また同じシリーズで、南朝や室町幕府の立場から検討した書籍も刊行されています。ぜひそれぞれの立場からの視点を比べてみていただければと思います。
 

(紹介文執筆者: 史料編纂所 准教授 遠藤 珠紀 / 2025)

本の目次

はじめに なぜ、いま北朝天皇を取りあげる必要があるのか?
序  章 本書で登場する8人の「北朝天皇」
      (光厳・光明・崇光・後光厳・後円融・後小松・称光・後花園)

第1部 北朝天皇家の系譜をたどる
1章 両統迭立の契機 中井裕子
2章 南北朝の並立―光厳・光明 森 茂暁
3章 観応の擾乱と正平一統―崇光・後光厳 家永遵嗣
4章 南北朝合―後円融・後小松 久水俊和
5章 王統の正統性―称光・後花園 田村 航

第2部 北朝を支えた室町将軍と廷臣
6章 足利将軍➀尊氏~義満 水野智之
7章 足利将軍[2]義持~義政 石原比伊呂
8章 二条良基 小川剛生
9章 朝廷の下級官人 遠藤珠紀

第3部 北朝をめぐる諸論点・新視点
10章 門跡寺院と法親王 生駒哲郎
11章 天皇家と楽器 三島暁子
12章 南北朝正閏論 山口道弘  
 

関連情報

書評:
今週の本棚 (『毎日新聞』朝刊 2024年2月17日)
https://mainichi.jp/articles/20240217/ddm/015/070/006000c
 
書籍紹介:
石原比伊呂准教授(史学科)分担執筆『北朝天皇研究の最前線』出版 (聖心女子大学ホームページ 2023年11月30日)
https://www.u-sacred-heart.ac.jp/news/20231130/15865/

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