東京大学教員の著作を著者自らが語る広場

黄緑の表紙にストレッチをする人と脳のイラスト

書籍名

文系のための めっちゃやさしい やさしくわかる! 文系のための東大の先生が教えるよくわかる認知症 はじめて学ぶ人でも、どんどん楽しく読める!

著者名

富田 泰輔

判型など

304ページ、A5判

言語

日本語

発行年月日

2023年10月5日

ISBN コード

978-4-315-52737-7

出版社

ニュートンプレス

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認知症は、超高齢社会を迎えた日本において、誰もが向き合うべき喫緊の課題です。65歳以上の高齢者のうち認知症の方の割合は約12%に達し、その前段階である軽度認知障害 (MCI) を含めると、高齢者の約3人に1人が認知機能に何らかの症状を抱えているとされています。認知症はもはや特別な病気ではなく、私たちの身近にある問題なのです。
 
本書は、認知症という複雑なテーマを、専門的な予備知識を持たない方にも理解していただけるよう、文系の青年と先生の対話形式で解説した入門書です。「認知症って何?」という素朴な問いから出発し、脳のしくみや神経細胞のはたらき、認知症の種類、治療法、リスクを減らす方法まで、幅広い内容をカバーしています。イラストや図解も豊富に用いて、目で見てイメージしながら読み進めることができるようにしました。
 
本書の構成は4つの「時間目」に分かれています。1時間目では認知症の基本を概観し、老化による物忘れとの違いを明確にしました。2時間目では、脳と神経細胞のしくみや記憶が形成されるメカニズムを解説しました。3時間目では、認知症の約7割を占めるアルツハイマー病について、脳内に蓄積するアミロイドβだけでなく、ミクログリア細胞やタウタンパク質といった複数の要因が神経細胞の死に関わっていることを詳しく説明するとともに、レカネマブなどの抗体医薬をはじめとするさまざまなアプローチによる「アルツハイマー病包囲網」の最前線を紹介しました。また認知症を引き起こす、アルツハイマー病以外の病気についても解説しました。4時間目では、睡眠・運動・食生活といった生活習慣と認知症リスクの関連を取り上げ、今日から始められる具体的な予防策を示しました。また認知症となったご家族をどう支えればよいかについても触れました。
 
誰にでも起こりうる認知症に対して漠然とした不安を抱えている方は少なくないでしょう。しかし本書を通じて、脳が働く仕組み、認知症になるメカニズム、診断・予防・治療法の最近の動向、そして今、何ができるのかということができるだけ明確になるようにしました。できるだけ全く知識のない方でも読め、すでにある程度の知識をお持ちの方にとっても新たな発見がある一冊になったと思います。これから専門分野を選ぼうとする学部生の皆さんにとって、認知症という社会的課題の全体像をつかむための最良の出発点となることを願っています。
 

(紹介文執筆者: 薬学系研究科・薬学部 教授 富田 泰輔 / 2026)

本の目次

1時間目:認知症の基本
STEP1. 認知症は21世紀最大の課題
増えつづける認知症
認知症はどういう病気?
認知症は老化によるもの忘れとはちがう
認知症の約70%はアルツハイマー病

2時間目:認知症を理解するための脳の基本
STEP1. 脳のしくみと神経細胞
脳の基本構造
脳の中をくわしく見てみよう
大脳皮質も役割分担をしている
脳の神経細胞は,1000億個以上!
脳のはたらきを生みだす神経細胞
脳の信号は,“電線”を通って伝えられる
神経細胞をへだてる,シナプス間隙
神経細胞の活動には,介護役が必要不可欠

STEP2. 記憶のしくみ
記憶には,海馬が必要
神経細胞の変化が,記憶をつくる
信号の受信器が増えて,短期の記憶がつくられる
長期の記憶には,遺伝子のはたらきが必要
学習すると,神経細胞のでっぱりが大きくなる


3時間目:認知症のしくみと治療
STEP1. 脳のゴミが引きおこすアルツハイマー病

アルツハイマー病は,40代から忍び寄る
記憶の司令塔が真っ先に壊れる
脳内のゴミが神経細胞の死をもたらす
ゴミの掃除屋が神経細胞を攻撃
アルツハイマー病の原因となる遺伝子変異

STEP2. アルツハイマー病の診断と治療に挑む
脳内のゴミの蓄積を画像化して徴候をつかむ
血液検査でアルツハイマー病の早期発見が可能になる?
アルツハイマー病の進行を遅らせた国産薬「アリセプト」
脳のゴミを攻撃する抗体医薬
世界ではじめて承認された抗体医薬「アデュカヌマブ」
アミロイドβが集まりはじめるのをおさえる「レカネマブ」
根治に向け,続々と新薬の開発が進む

STEP3. レビー小体型認知症と脳血管性認知症
男性のほうが2倍発症しやすい,レビー小体型認知症
手足がふるえ,転びやすくなることも
脳卒中が原因でおきる脳血管性認知症
要注意! 脳卒中の予兆
脳血管の時限爆弾の破裂を防げ! [1]脳出血
脳血管の時限爆弾の破裂を防げ! [2]脳梗塞
脳卒中の予防には,動脈硬化の防止が一番

4時間目:脳を健康に保つには
STEP1. 認知症への対策

アルツハイマー病は潜伏期間が長い
深刻な認知症に至るまでの二つの段階
早期介入で発症を遅らせる
認知症と診断されたら
認知症の家族はどうサポートすればいい?

STEP2. 生活習慣と認知症
睡眠不足は認知症の危険因子
睡眠によって,脳のゴミが洗い流される
肥満や糖尿病は認知症リスクを上げる
運動で脳の活動を改善
歯周病は認知症を悪化させることがある
認知症は腸内細菌と関連があるかもしれない
抗生物質の多用で認知機能の低下の可能性
偉人伝[1] 脳の病気を発見, アロイス・アルツハイマー
 

関連情報

研究室ウェブサイト:
東京大学大学院薬学研究科 機能病態学教室
Tomita Lab Neuropathology and Neuroscience
https://neuropsc.f.u-tokyo.ac.jp/
 
受賞歴:
ベルツ賞二等賞(2011年)、日本認知症学会学会賞(2013年)、島津奨励賞(2018年)、独創性を拓く先端技術大賞(2022年)、HIRUMA/Wagner Award(2023年)ほか
 
著者インタビュー:
どうして歳を取るとボケるの?→富田泰輔|素朴な疑問vs東大 (『淡青』45号 2022年10月20日)
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/z1304_00198.html
 
2022年 開講 東大×知の巨人たちの雑談
第30回 | 認知症予防のカギは「脳のゴミ掃除」?4-1 (UTokyo Channel 2022年)
https://ch.u-tokyo.ac.jp/content/?id=4xheUhi04BL1
 
2022年 開講 東大×知の巨人たちの雑談
第31回 | アルツハイマー病予防のカギを見つけた驚くべき調査法とは?4-2 (UTokyo Channel 2022年)
https://ch.u-tokyo.ac.jp/content/?id=0VVUeBDzIs4c
 
2022年 開講 東大×知の巨人たちの雑談
第32回 | 腸内環境を劇的に改善する「IgA抗体」とは?4-3 (UTokyo Channel 2022年)
https://ch.u-tokyo.ac.jp/content/?id=GwxyWAC99WVK
 
2022年 開講 東大×知の巨人たちの雑談
第33回 | 「薬のいらない健康長寿」を実現させる方法とは?4-4 (UTokyo Channel 2022年)
https://ch.u-tokyo.ac.jp/content/?id=7EO5VZ2IBOWE
 
2022年 開講 東大×知の巨人たちの雑談
第34回 | 脳梗塞の予防を可能にする「新たな診断法」とは?4-5 (UTokyo Channel 2022年)
https://ch.u-tokyo.ac.jp/content/?id=PARd01xj9P3Q
 
2022年 開講 東大×知の巨人たちの雑談
第35回 | 車を運転するだけで認知症チェックを可能にする技術とは?4-6 (UTokyo Channel 2022年)
https://ch.u-tokyo.ac.jp/content/?id=NfesuKxK3h3W
 
2022年 開講 東大×知の巨人たちの雑談
第36回 | 認知症で失った記憶は脳のどこかにあるー4-7 (UTokyo Channel 2022年)
https://ch.u-tokyo.ac.jp/content/?id=dKFB3xbfr4c1
 
2022年 開講 東大×知の巨人たちの雑談
第37回 | IgA抗体で新型コロナウィルスも克服できるー4-8 (UTokyo Channel 2022年)
https://ch.u-tokyo.ac.jp/content/?id=aWg1cWt2Yi0j
 
2022年 開講 東大×知の巨人たちの雑談
第38回 | 日本はなぜ基礎研究につく予算が少ないのか?ー東大×知の巨人たちの雑談4-9 (UTokyo Channel 2022年)
https://ch.u-tokyo.ac.jp/content/?id=VaCTK9upyfrY
 
2022年 開講 東大×知の巨人たちの雑談
第39回 | 日本から「スター研究者」を生み出すには?4-10 (UTokyo Channel 2022年)
https://ch.u-tokyo.ac.jp/content/?id=cY2MKlXAAhHj
 
2022年 開講 東大×知の巨人たちの雑談
第40回 | 日本人が科学をもっと信用した方がいい理由ー東大×知の巨人たちの雑談4-11 (UTokyo Channel 2022年)
https://ch.u-tokyo.ac.jp/content/?id=d6O26xas5FHW
 
研究室探訪: 薬学研究は病気のメカニズム解明や創薬だけでなく、基礎生物学にも大きな影響を及ぼせる―薬学部・富田泰輔教授 (高校生・受験生が東大をもっと知るためのサイト『キミの東大』 2019年1月31日)
https://kimino.ct.u-tokyo.ac.jp/1894/
 
メディア出演:
NEW! 第3集「認知症 治療と予防の新時代」 (NHK総合『NHKスペシャル』 2026年10月4日)
https://www.nhk.jp/g/ts/2NY2QQLPM3/blog/bl/paJnovBDza/bp/pr1QZ907Yr/
 

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