東京大学教員の著作を著者自らが語る広場

イギリス住宅地のベージュの線画

書籍名

名場面の英語で味わうイギリス小説の傑作 英文読解力をみがく10講

著者名

斎藤 兆史、 髙橋 和子

判型など

256ページ、A5判

言語

日本語

発行年月日

2024年3月14日

ISBN コード

978-4-14-035186-4

出版社

NHK出版

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本書は、イギリス小説の傑作から厳選した原文を味わいながら、英語を深く学ぶための学習書です。2010年にNHKの教育テレビで放送(2012年に再放送)された『聴く読むわかる!英文学の名作名場面』のテキストを大幅に加筆・修正し、新たな作品も加えて執筆しました。英文を正確に読み解くことに加えて、文学的な文章を深く読み解くためのヒントが満載です。
 
全体は10章構成で、19世紀初頭から20世紀後半までの作品が執筆年代順に並んでいます。1章から読んでいただいても、好きな章から読んでいただいても楽しめる構成になっています。
 
各章の内容は以下の通りです:
・「作家と作品」:作家の生い立ちや主要作品、本書で取り上げる作品が生まれた背景などを紹介しています。
・「全体のあらすじと名場面」:作品全体と名場面のあらすじをまとめています。
・「名場面―和訳」:名場面の日本語訳を先に読んで、大まかな流れを理解することができます。和訳なしで原文を読みたい場合は、飛ばして先に進んで構いません。
・「各場面―原文」:各場面の原文を、語注とともに掲載しています。
・「名場面―語法・文法解説」:読解を進める上で重要なポイントを丁寧に解説しています。
・「名場面―名文句」:本書の中心部分です。名場面の名文句を深く鑑賞することができます。
たとえば第1章の『高慢と偏見』では冒頭の“It is a truth universally acknowledged, that a single man in possession of a good fortune, must be in want of a wife.”を取り上げ、“a truth”という言葉には当時の人々の「常識」に対する皮肉が描きこまれ、“must”を加えることによってさらに強く皮肉っていることを説明しています。また、第6章の『闇の奥』では作品後半に現れる叫び“The horror! The horror!” を選び、The horror of~のof以下が省略され、どのような恐怖なのかが敢えて描かれていない点を指摘しています。
・「コラム」:著者の体験を踏まえた楽しいエピソードを扱っています。
 
各章の扉には作家の似顔絵(斎藤兆史氏作)が配されており、作家がどのような人だったのかを想像する楽しみもあります。
 
インターネットが私たちの生活の隅々にまで普及し、AIが英語⇔日本語を即座に変換可能な環境が広がっています。いわゆる「コスパ」、「タイパ」が重視され、じっくりと英文を読むことは時代遅れとする考え方もあるかもしれません。それでも強調したいのは、時代を超えて読み継がれる文学作品は、緻密な構成を持ち、作家が選び抜いた良質なことばで綴られているということです。名作を原文で丁寧に読み、作家が描こうとする世界に近づく経験を通して、読者のみなさんが英語力をみがき、豊かな時間を過ごすことができたらと願っています。
 

(紹介文執筆者: 教育学研究科・教育学部 名誉教授 斎藤兆史、教授 髙橋 和子 / 2025)

本の目次

はじめに (斎藤兆史)
Lesson 1 ジェイン・オースティン 『高慢と偏見』(斎藤兆史)
Lesson 2 チャールズ・ディケンズ 『オリヴァー・トゥイスト』(斎藤兆史)
Lesson 3 シャーロット・ブロンテ 『ジェイン・エア』(髙橋和子)
Lesson 4 エミリー・ブロンテ 『嵐が丘』(髙橋和子)
Lesson 5 トマス・ハーディ 『ダーバヴィル家のテス』(斎藤兆史)
Lesson 6 ジョウゼフ・コンラッド 『闇の奥』(髙橋和子)
Lesson 7 サマセット・モーム 『人間の絆』(斎藤兆史)
Lesson 8 E.M.フォースター 『インドへの道』(髙橋和子)
Lesson 9 ヴァージニア・ウルフ 『ダロウェイ夫人』(髙橋和子)
Lesson 10 カズオ・イシグロ 『日の名残り』(斎藤兆史)
おわりに (髙橋和子)
 

関連情報

特別公開:
名場面・名文句の英語で読み解く、イギリス小説の傑作——ジェイン・オースティン『高慢と偏見』 (NHK出版デジタルマガジン 2024年3月15日)
https://mag.nhk-book.co.jp/article/47707
 
名場面・名文句の英語で読み解く、イギリス小説の傑作—カズオ・イシグロ『日の名残り』 (NHK出版デジタルマガジン 2024年3月27日)
https://mag.nhk-book.co.jp/article/48445

書評:
鴻巣 友季子 評「さりげない英文に潜む妙を知る」 (ALL REVIEWS | 毎日新聞 2024年3月23日)
https://allreviews.jp/review/6787
 
対談:
英語を学ぶこと。文学を楽しむこと――斎藤兆史氏 × 鴻巣友季子氏 刊行記念対談 (NHK出版デジタルマガジン 2024年4月15日)
https://mag.nhk-book.co.jp/article/49447
 
イベント:
斎藤兆史×北村一真 「“英語を読む力”のつけ方」 W刊行記念トークイベント&サイン会 (紀伊國屋書店 新宿本店 2024年4月11日)
https://store.kinokuniya.co.jp/event/1710138310/
 

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