
書籍名
生成音韻論の歴史と展望 田中伸一教授還暦記念ハンドブック
判型など
464ページ、A5判
言語
日本語
発行年月日
2025年3月17日
ISBN コード
978-4-7589-2416-0
出版社
開拓社
出版社URL
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本書は、2024年6月に還暦を迎えられた田中伸一教授 (総合文化研究科) の還暦を祝うべく、編纂されたものである。還暦記念を冠する本は様々なテーマの論文を集めて論文集として構成することが一般的だが、本書は「百科事典的な音韻論の総覧」として位置づけられるように一冊の学術書として構成している。生成音韻論の黎明とされる Chomsky and Halle (1968) The Sound Pattern of Englishの前後から、最新の実験的・統計的手法に基づく音韻理論に至るまでの音韻論の歴史・進展を、時代別・テーマ別にその概要を俯瞰するのが狙いである。古今東西さまざまな形で音韻理論は伸展してきたが、その歴史を1つの書としてまとめた点が本書の特徴である。
これまで音韻論の概説書として、国内外でさまざまな本が出版されてきた。しかし、音韻論研究の歴史・進展を紐解くような概説は、これまでに存在しなかったのではないだろうか。本書では、各時代にどの様な問題意識があり、その問題をどの様に乗り越えることで音韻論研究が進展してきたかに焦点を当てた。これまでになかった音韻論の歴史書として、多くの言語研究者や言語学に関心のある一般読者が、本書1冊でこのテーマを参照できるようになっている。
一方、本書の前半の各章にて生成音韻論の「過去」と「現在」が論じられているのに対し、後半の「座談会」では今後の行く末を占う「未来」について、形式理論的研究と実験的・統計的研究の双方から代表者を招いて考察を深めている。1人の研究者が今後の音韻論を語るのは、確度が低く偏った論考になりかねない。座談会形式を採るのは、いくつかの立場から目標や方法論を異にする識者を集め、自由に議論することにこそ意義があるからである。取り留めのない議論に堕するのではなく、言語学的に有意義なトピックや問題に対し音韻論がどのような関心を持ち、それに応えるべく音韻論が今後どのように発展してゆく (べき) かが深掘りされており、ここにも一読の価値があるであろう。
なお、2025年8月27日に中央大学にて開催された音韻論フォーラム2025では、特別シンポジウム「生成音韻論の‘現在’:日本語研究の最前線から」という企画で本書の延長線上の話題が取り上げられた。つまり、「過去」と「未来」ではなく「現在」に焦点を置いて、日本語を事例として代表的な理論の最前線の進展や研究結果が報告されたのである。このあらましは『音韻研究』第29号 (日本音韻論学会) に掲載されているので、合わせてご参照いただきたい。
(紹介文執筆者: 総合文化研究科・教養学部 教授 田中 伸一 / 2025)
本の目次
田中伸一&還暦記念出版委員会
Part I 黎明期(50~60年代):音韻論の形式理論化
第2章 弁別素性と規則に基づく音韻理論(SPE)
山田英二
Part II 反抗期(70年代~):SPEへのアンチテーゼ
第3章 自然音韻論
上田 功
第4章 韻律音韻論・自律分節理論
クレメンス・ポッペ
Part III 繁栄期(80年代~):普遍性と多様性の探求
第5章 素性階層理論・不完全指定理論
平山真奈美
第6章 語彙音韻論と形態インターフェイス
本間 猛
第7章 韻律階層と統語インターフェイス
時崎久夫
第8章 生成韻律論
岡崎正男
第9章 統率音韻論とエレメント理論
那須川訓也
Part IV 転換期(90年代~):新たな統語理論への収束
第10章 最適性理論:古典的標準モデル
渡部直也
Part V 円熟期(2000年代~):それぞれの専門分化と多極化
第11章 最適性理論:重みづけによる発展型
熊谷学而
第12章 事例基盤モデル
橋本大樹
第13章 神経基盤モデル
黄 竹佑
第14章 進化基盤モデル
田中伸一
『生成音韻論の歴史と展望』特別企画 座談会「音韻論はどこへゆくのか」
関連情報
太田聡 (山口大学名誉教授) 評 (東京大学言語情報科学専攻『Language, Information, Text = 言語・情報・テクスト:東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻紀要』第33号 2025年12月)
https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/search?page=1&size=100&sort=custom_sort&search_type=2&q=6555
<本の棚> 平山真奈美 (東京大学准教授) 評 (東京大学教養学部『教養学部報』第666号 2025年10月)
https://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/about/booklet-gazette/bulletin/666/open/666-2-01.html
関連シンポジウム:
2025年度音韻論フォーラム
特別シンポジウム「生成音韻論の‘現在’:日本語研究の最前線から」 (日本音韻論学会 2025年8月26、27日)
https://www.phsj.jp/

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