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白い表紙に赤の雲状の模様

書籍名

岩波新書 2027 サステナビリティの経済哲学

著者名

松島 斉

判型など

248ページ、新書判

言語

日本語

発行年月日

2024年8月20日

ISBN コード

9784004320272

出版社

岩波書店

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サステナビリティの経済哲学

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経済学は、私たちの価値観や倫理観の形成に大きな影響を及ぼしてきました。市場や効率性に関する言説だけでなく、「自己責任」や「合理的選択」といった日常的な思考様式にまで、その影響は及んでいます。しかし一方で、経済学者が語る政策提言や未来予測に対して、私たちは決して全面的な信頼を寄せているわけではありません。現実には、経済学者の示した政策によって裏切られたり、制度の機能不全に直面したりすることが繰り返されてきました。にもかかわらず、経済学の根底にあるイデオロギーや制度観はほとんど変化せず、社会制度の深層に固定化されています。そのため、私たちは制度の疲労状態が常態化したグローバル社会の中で、経済学に対して無関心や忖度を装い、深い思索を避けがちです。
 
本書『サステナビリティの経済哲学』は、そうした状況に真っ向から向き合い、現代経済学が人類と地球が直面する緊急課題──SDGs、気候変動、貧困や飢餓、格差、包摂、生活基盤の維持、未来世代への責任、地球環境の保全──に対して、いかに応答できてこなかったかを鋭く問い直します。そして、現在もなお経済学がこうした課題に真剣に向き合いきれていないこと、それ自体が制度疲労の最たる証左であることを、明快に示します。
 
その上で本書は、経済学の専門的知見を基盤としながら、サステナビリティに関する諸問題を妥協なく掘り下げます。ときに初歩的な概念の解説を交えながら、現代経済学の構造的な限界や内在する偏りを批判的に読み解き、経済学という学問に対する理解の新たな地平を読者に提示します。これにより、読者が現在の「悪しき制度状況」を正確に理解し、サステナビリティと経済をつなぐ思考の回路を開くことを目指しています。
 
とくに本書は、これから経済学を学び始める若い学生にとって、従来の教科書では得られない視座や問題意識を育む手引きともなるでしょう。新しい資本主義と社会主義、企業統治、サステナビリティに真剣に取り組む企業のかたち、社会的インパクトの持続的な創出とファイナンスの仕組み、ケアの倫理と経済との接続、そして国際的な気候変動交渉と国際秩序の緊張関係まで、多岐にわたるテーマを、ゲーム理論の基礎的なモデルを用いて平易に解説しています。
 
さらに本書は、経済学が法学、政治学、倫理学などの隣接領域と密接に関わっていることを明示し、経済学を学ぶことの真の意味を再定義します。単なる学際的な知識の寄せ集めではなく、創造的で独創的な知の探究として経済学を再起動する。そのための最初の一冊として、本書は広く読まれることを願っています。
 

(紹介文執筆者: 経済学研究科・経済学部 教授 松島 斉 / 2025)

本の目次

はじめに

第1章 大義の経済学
 1 私利私欲から大義へ
 2 見えざる手を超える
 3 サステナビリティ
 4 SDGs (持続可能な開発目標)
 5 コモンズの悲劇
 6 オストロムの原則
 7 センの笛
 8 官僚主義と民主主義
 9 グローバルコモンズ
 10 新しい資本主義、新しい社会主義
 11 サステナビリティとスピリチュアリティ

第2章 ドグマをあばく
 1 経済学教育とサステナビリティ
 2 オークションと貧困
 3 VCGメカニズムと収奪
 4 反ドグマ的ドグマ
 5 プログラム化と自律性
 6 トリアージと生産性
 7 介護問題とサステナビリティ

第3章 新しい資本主義
 1 大義のプラットフォーム
 2 世界観としての企業文化
 3 契約の束から社会的責任へ
 4 サステナビリティ経営
 5 営利企業と企業財団
 6 社会的企業
 7 地域活性化とクラウドファンディング

第4章 新しい社会主義
 1 グローバルコモンズと国際協力
 2 暗黙の協調
 3 プレッジ・レビュー・アプローチと気候クラブ
 4 国際秩序
 5 量から税へ
 6 不測の事態への耐性
 7 新たな提案:新しい社会主義
 8 格差是正とイノベーション
 9 新しい社会主義の展望

第5章 社会的共通資本を超えて
 1 社会的共通資本
 2 サステナビリティ教育と人的資本
 3 ヴェブレン
 4 マルクス
 5 企業文化と日本経済
 6 経済学自体のサステナビリティ
 7 スミスの共感

 あとがき
 

関連情報

著者インタビュー:
人間の生活に不可欠なインフラ「社会的共通資本」前編
東大教授が解説! 現代の日本で「社会的共通資本」が求められる理由 (東京証券取引所「東証マネ部!」 2025年7月21日)
https://money-bu-jpx.com/news/article061045/
 
人間の生活に不可欠なインフラ「社会的共通資本」後編
インフラを持続させるためのキーワードは「制度設計に参加する意識」 (東京証券取引所「東証マネ部!」 2025年7月21日)
https://money-bu-jpx.com/news/article061053/
 
リニューアル記念座談会「サステナビリティの経済学から新たな道すじを考える」
松島斉氏(東京大学大学院経済学研究科 教授)/ 諸富徹氏(京都大学大学院経済学研究科 教授)/ 小野浩氏(一橋ビジネススクール 教授)/ 白井さゆり氏(慶応義塾大学 教授)/ 幸田博人(コーディネーター) (『金融・資本市場リサーチ』第17号 2025年3月号)
https://www.iiri.co.jp/research/
 
「サステナビリティは菩提心から」
<対談> 松島 斉(東京大学)×金井政明(良品計画顧問) (岩波『世界』2025年4月号 2025年3月7日)
https://www.iwanami.co.jp/book/b10132922.html
 
75周年特別インタビュー「サステナビリティなき経済は犯罪である」 (『月刊企業会計』2025年1月号 2024年12月4日)
https://www.biz-book.jp/isbn/502501
 
III 活動報告
ゲーム理論で実現する持続可能な社会 (『東京大学統合報告書2024 ~IR Cubed~』p.76-77 2024年11月28日)
https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400252575.pdf
 
連載寄稿「『サステナビリティの経済哲学』を貫く思考~医療と介護のサステナビリティ(第7回)~」 (『日経研月報』vol.546 2024年10-11月号)
https://www.jeri.or.jp/wp-content/uploads/2024/09/01%EF%BC%8F%E7%9B%AE%E6%AC%A1.pdf
 
話題の本 著者に聞く(インタビュー) (『週刊東洋経済』 2024年10月12日号)
https://str.toyokeizai.net/magazine/toyo/20241007/
 
今「ゲーム理論」の大家が継ぐ、宇沢弘文の遺志
『サステナビリティの経済哲学』松島斉氏に聞く (『東洋経済』ONLINE 2024年10月6日)
https://toyokeizai.net/articles/-/831426
 
ヘルスケアヘルスケア医療と介護のサステナビリティ(第7回)
『サステナビリティの経済哲学』を貫く思考~医療と介護のサステナビリティ(第7回)~ (一般社団法人日本経済研究所ホームページ 2024年9月18日)
https://www.jeri.or.jp/survey/202410-11_07/
 
著者コラム:
特集: 昭和100 年の100 人「宇沢弘文 社会的共通資本の旅路」 (『文藝春秋』2025年1月号 2024年12月10日)
https://bunshun.jp/bungeishunju/articles/h9005
https://bunshun.jp/bungeishunju/articles/h9105
 
書評:
一方井 誠治 (武蔵野大学名誉教授) 評 (『環境経済・政策研究』Vol.18, No.2 (2025.9), p.41-44 2025年9月30日)
https://doi.org/10.14927/reeps.br1802-001
 
活字の海で: アダム・スミスの「見えざる手」再考 資本主義を問う3冊 (『日本経済新聞』 2024年11月30日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK25AHQ0V21C24A1000000/
 
河野龍太郎 (BNPパリバ証券チーフエコノミスト) 評 (『週刊金融財政事情』 2024年11月26日号)
https://kinzai-online.jp/node/12364
 
諸富徹 (京都大学大学院教授) 評「“新しい資本主義”と“新しい社会主義”を構想する著者の熱意みなぎる書」 (『週刊エコノミスト』 2024年11月26日号)
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20241126/se1/00m/020/006000c
 
青木千恵 (書評家) 評 (『読売新聞』 2024年10月6日)
 
シンポジウム・セミナー:
社会的共通資本寄付講座(SCC)キックオフシンポジウム
基調講演 松島斉教授(東京大学)「社会的共通資本のための制度設計」 (SCCチャンネル | YouTube 2024年10月10日)
https://www.youtube.com/watch?v=79dWFc6oNjI&t=161s
https://www.carf.e.u-tokyo.ac.jp/events/scc221010/
 
社会的共通資本寄付講座(SCC)キックオフシンポジウム
パネル討論「宇沢先生の社会的共通資本とこれからの社会的共通資本」 (SCCチャンネル | YouTube 2024年10月10日)
https://www.youtube.com/watch?v=JFBMcilYGEY&t=3s
 
社会的共通資本寄付講座(SCC)シンポジウム
オープニングスピーチ 松島斉教授(東京大学)「サステナビリティのためのコーポレートガバナンス」 (SCCチャンネル | YouTube 2024年8月22日)
https://www.youtube.com/watch?v=x7XcHHmAucI
https://www.scc.e.u-tokyo.ac.jp/%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%88/%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%82%B8%E3%82%A6%E3%83%A02024
 
先制的LCA社会連携研究部門セミナー「サステナビリティの経済哲学」 (未来戦略LCA連携研究機構 2024年6月24日)
https://www.utlca.u-tokyo.ac.jp/topic/20240621/
 
入学試験問題として:
東京工芸大学芸術学部一般選抜I期A・B方式学力試験問題2025年度「国語」「ゲーム理論はアート」
 
香川大学経済学部入学試験問題学校推薦型選抜I 2025年度「サステナビリティの経済哲学」第1章
 
北陸大学入学試験問題2025年度「サステナビリティの経済哲学」第3章6節
 
周南公立大学令和7年度一般選抜公立大学中期日程経済経営学部「小論文」:「サステナビリティの経済哲学」p4-11
 
慶応大学経済学部入学試験問題「小論文:課題文I」2025年2月13日実施:「サステナビリティの経済哲学」第1章3節および第2章6節(一部抜粋)
 
南山大学国際教養学部国際教養学科特別入試審査(カトリック系高等学校等対象)問題「小論文」2024年11月30日実施:「サステナビリティの経済哲学」第4章4節
 

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