
書籍名
叢書パルマコン・ミクロス 03 コンスピリチュアリティ入門 スピリチュアルな人は陰謀論を信じやすいか
判型など
296ページ、四六判
言語
日本語
発行年月日
2023年3月23日
ISBN コード
9784422701271
出版社
創元社
出版社URL
学内図書館貸出状況(OPAC)
英語版ページ指定
本書は、陰謀論との結びつきが強いスピリチュアリティが出現しているという説を紹介し、検証する論集である。私の章では、コロナ死生観調査のデータを用い、COVID-19をめぐる陰謀論とスピリチュアリティとの関係を分析した。
分析の結果、陰謀論を信じる背景には、孤独感、排他性、SNSへの信頼が関わり、自己に都合のよい情報のみを受容する、いわば「自己マインドコントロール」とも呼べる状態が確認された。典型的な支持者は若い男性であり、「高齢男性が陰謀論に陥る」という通説は支持されなかった。
SBNR (非宗教的スピリチュアリティ層) は他の層より陰謀論との結びつきが強いことが明らかになった。だが、比率で見るとSBNR内でも陰謀論者は少数派であることに注意が必要である。また、神道的信仰、瞑想やスピリチュアル本の読書などの実践は、陰謀論を信じることと関連があった。それらは、孤独や排他性とも関連があったが、SNSへの信頼とは有意な相関を示さなかった。したがって、これらの宗教的、スピリチュアルな特性は、陰謀論をオンラインで拡散している人々と同一視できない。
宗教・スピリチュアリティの中には、陰謀論を抑制する項目も確認された。とくに若年女性に多い超越的存在への信念や祈りなどは、孤独や不安を緩和し、陰謀論への傾斜を弱める働きを持つ。伝統宗教的実践 (葬式仏教など) をおこなう高齢男性は、SNSへの信頼が低く、そもそも陰謀論をほとんど支持しない。
本書全体としては、スピリチュアリティと陰謀論の結びつきを一定程度認めつつも、それを単純な因果関係として捉えない。むしろ、現代社会における不安や不信、意味づけの欲求と結びついた文化的現象として捉える。特に、制度宗教から離れた個人主義的なスピリチュアリティ (SBNR) が、権威への不信や代替的知識への志向と親和的である点が指摘され、陰謀論と接続しやすい土壌が論じられる。他方で、その形態が多様であることも確認された。
本書が刊行されてから、第2次トランプ政権が始まり、陰謀論の日常化とでも呼べるような状況が到来した。2026年のベネズエラへの軍事介入と大統領夫妻の逮捕は「麻薬テロ」によって、イランへの攻撃は核兵器の脅威からの自衛だという信念によって開始された。同時に、トランプ政権では福音派、ペンテコステ派、繁栄の神学とのつながりがより鮮明となった。それは、陰謀論的スピリチュアリティ (コンスピリチュアリティ) というよりは、陰謀論的宗教性 (コンレリジオシティ) と呼んだほうがいいだろう。宗教と陰謀論が、政治、さらには国際政治まで動かす現状を考えるために、本書は有益な示唆を与えるだろう。
(紹介文執筆者: 人文社会系研究科・文学部 教授 堀江 宗正 / 2026)
本の目次
コンスピリチュアリティとは何か(辻 隆太朗)
神真都Qと陰謀論団体とコンスピリチュアリティ(雨宮 純)
コロナ禍とコンスピリチュアリティ――コロナ死生観調査から(堀江宗正)
宗教と陰謀のブリコラージュ(清 義明)
フランスとアングロサクソンのコンスピリチュアリティはどう異なるか(竹下節子)
巻末対談:コンスピリチュアリティは「新しい」のか?――陰謀論の現在(横山茂雄×栗田英彦)
関連情報
【陰謀論とスピリチュアリティの最前線】『コンスピリチュアリティ入門』の「はじめに」を無料公開! (創元社note部 | note 2023年3月14日)
https://note.com/sogensha/n/n90bf6ca5ca86
書評:
横山茂雄・ 栗山英彦ほか 『コンスピリチュアリティ入門』 : 私が反省させられた本 (年間読書人 | note 2023年4月11日)
https://note.com/nenkandokusyojin/n/n1ec1fca57366
イベント:
【『コンスピリチュアリティ入門』刊行記念イベント(2)】陰謀論とスピリチュアルの知らない世界 (創元社セミナー 2023年5月24日)
https://sogensha-conspirituality2.peatix.com/
【『コンスピリチュアリティ入門』刊行記念イベント(1)】「コンスピリチュアリティ」概念の可能性と課題 (創元社セミナー 2023年5月13日)
https://sogensha-conspirituality1.peatix.com/view

書籍検索


eBook


