
書籍名
アジア研究図書館叢書 6 アジア研究図書館所蔵奈良毅文庫目録
判型など
58ページ
言語
日本語
発行年月日
2024年3月
ISBN コード
978-4-910718-07-1
出版社
東京大学附属図書館アジア研究図書館研究開発部門
出版社URL
学内図書館貸出状況(OPAC)
英語版ページ指定
「東京大学教員の著作を著者自らが語る広場」たるUTokyo BiblioPlazaに自分がこれを紹介してよいものか、どうにも気が引けるところがある。タイトルが示すとおりこれは文庫目録で、私は僅か8頁の解題を書いただけだからだ。で、あるのだが、文字通り <UTokyoの・Biblionの・Plaza> に紹介すると思えば、これほどふさわしい素材もない気もする。目録には、図書館資料の重要な一角を成す「文庫」構築の意義と苦労がこもっているからだ。
奈良毅文庫は、2020年に開館したアジア研究図書館の文庫の一つで、南アジア諸言語を中心とする言語学を専門とする故・奈良毅氏の旧蔵資料からの寄贈資料から成る。この文庫の来歴や特徴と、奈良先生の大変に幅広いご研究と活動については、この目録上の拙文をご覧いただきたい。ここでは、「文庫」構築と「目録」作成の意義について、少し記したい。
アジア研究図書館では、2024年秋時点で蔵書の23.6%を寄贈資料が占めるとのことで、その重要さが垣間見える。しかし、寄贈資料の受入には多大な時間と労力を要する。私は2014-17年度に、アジア研究図書館の構築を支援し図書館を拠点とする研究を推進する寄付研究部門、U-PARLで副部門長を務め、その間、寄贈資料受入にも関わったが、どれも大変な難事業だった (この奈良毅文庫も、本目録の編者の徳原靖浩特任助教 (当時) をはじめ、U-PARL内外の、ここにお名前を列挙できないほど多くの方々の尽力により成り立ったもので、それについても拙文をご覧いただければと思う)。それでも寄贈資料受入が今まで続いてきたのは、もちろん貴重な資料を保存、活用するためであろうが、同時に「文庫」の構築自体に大きな意義があるからだと思う。
現在、図書館で個人蔵書を全面受入することはほぼありえず、何らかの基準で丁寧に選書されるが、それでもなお、「文庫」はその持ち主の研究の過程と内実を留めるものとなる。日記や書簡が残り刊行される可能性が下がり続けている現在、文庫と目録の存在意義はより高まっていると思われる。現在、図書館で寄贈文庫をまとめて配架することはまれで、アジア研究図書館でも内容に応じてばらばらに配架しているが、それだけに、解題を伴う目録で文庫の全体像を一望できることには大きな意義がある。「OPACがあるのに目録が必要?」と思うかもしれないが、OPACは検索性は素晴らしいが、資料の全体像を眺めるのには適していない。目録はOPACで単純に代替できない、異なる視点を提供してくれるものなのである。
アジア研究図書館の寄贈資料受入は、2021 年度以降はRASARL (アジア研究図書館研究開発部門) がほぼ引き継ぎ現在に続いている。奈良文庫をはじめ、複数の寄贈資料の目録が《アジア研究図書館叢書》として刊行されており、すべて東京大学学術機関リポジトリでも全文公開されている。他にも目録化には至っていないながらすでに多くの資料が公開されている文庫がいくつもあり、U-PARLのウェブページや『アジア研究圖書館: 東京大学アジア研究図書館ニューズレター』に詳細が記されている。デジタルの時代にこそ、「文庫」や「目録」を覗いてみてもらえたら、新しい何かが見つかるかも、と思うのである。
(紹介文執筆者: 人文社会系研究科・文学部 准教授 冨澤 かな / 2025)
本の目次
目次
奈良毅文庫について (冨澤かな)
凡例
目録
関連情報
河原弥生 (東京大学附属図書館アジア研究図書館研究開発部門)
特集: 2020年代の海外資料調査・取扱・各館の取り組みを中心に
「アジア資料の収集・整理・保存・提供の実際」 (『情報の科学と技術』75巻3号p.111-116 2025年3月)
https://doi.org/10.18919/jkg.75.3_111

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