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2025年10月25日、ジェンダー・エクイティ推進オフィス主催のイベント「女子高校生のための東京大学説明会-リアル東大生や未来の東大生と交流しよう!―with 藤井総長」が開催されました。
この説明会は東京大学に関心のある女子中高生・既卒生を対象に、2006年から毎年催されており(2006~2019年は対面開催、2020年よりオンライン開催)、東京大学の概要の説明や東大生との交流会を通して、東京大学を身近に感じてもらうことを目的としています。今回は、全国各地、海外も含めて、当日参加でおよそ200名、動画視聴をあわせると400名を超える申し込みがありました。
「もっとたくさんの女の子たちにアクティブになってほしい!」(林香里理事・副学長)
「今日ここに集まっている東京大学の教員は、私も含めてみんな、もっとたくさんの女の子たちにアクティブになってほしい、そして、後悔のない生き方をしてほしいと思っています。東京大学には本当に素晴らしい教育環境があります。でも、もしかしたら、『女の子だから地元に残るべき』『浪人はダメだよ』『挑戦なんて怖い』『もともと東大なんて無理』とか、誰に言われたわけでもないのに、そう思い込んでしまっているかもしれない。でも実はそんなことない、東京大学をもっと身近に感じてほしいなと思っています。」

林香里理事・副学長
東京大学の概要について(後藤由季子先生)

*アーリーエクスポージャー【専門分野の早期体験】
研究分野の最先端に触れる授業。専門的な勉強に進むために必要な知識や考える力を養うとともに、学問の本質を理解するための基本的な視点や考え方を身につける。
**レイトスペシャリゼーション【遅い専門化】
学部学科にとらわれずに幅広く教養を深める授業。 入学してすぐに専門を決めるのではなく、いろいろな分野を学びながら、自分の本当にやりたいことをじっくり見つける。
***進学選択
学部1,2年生は全員が教養学部前期課程(文科一類、文科二類、文科三類、理科一類、理科二類、理科三類)に所属する。3,4年生で所属する学部・学科は、「進学選択」という仕組みによって決定。
最後には、このようなメッセージを参加者へお伝えしました。
「東京大学にはいろんな学びが広がっています。そして全国、世界から集まった刺激的な仲間が待っています。東大在学中も、卒業してからも、この東大という素晴らしい環境で得た経験や出会った仲間のつながりは本当に貴重です。東大は皆さんの興味や可能性をじっくり育てていける場所です。ぜひこの場所で楽しんで、みなさんの世界を広げてください。私たち教員も全力でサポートしたいと思います。
現役東大生による話題提供
1) 工学部 3年Aさん
Aさんは、東京の中高一貫校の出身で、中学のときの三者面談で、担任教員に東大を勧められたことをきっかけに東大をめざすようになりました。
「当時は、見たことのない景色を見てみたいという感じで、漠然と憧れを抱いて、志望校にしました」
物理や数学が得意だったAさんは、数学科を目指して理科一類を受験しましたが不合格となりました。しかし、高校卒業時、担任の先生に声をかけてもらったことが、さらに東京大学を目指す励みになりました。
「担任の先生から『自分が一番ワクワクする道を選びなさい』という言葉をもらいました。その時、『東大を目指して浪人することが、自分の成長につながり、一番プラスになる』と考えました。もちろん、来年も落ちるかもしれないという不安はありましたが、それ以上に、浪人生活で大きく成長できるという直感があり、浪人を選びました。」
その後、Aさんは理科二類に進路を変更して東京大学に合格し、クラスメイトと充実したキャンパスライフを過ごした話、進学選択において、「化学」を学ぶ学科が東大にたくさんあるという話をしてくれました。
「化学を学べる学科は、理学部、薬学部、工学部、農学部、教養学部とたくさんあり、それらには少しずつ違いがあります。例えばこの学科だと、実験が週何日あるとか、どういう研究ができるとか、ここの学科は分析っぽい感じ、ここはちょっとバイオ系、生物系の研究が盛んとか。その中で自分の関心に合った学科に入りました。」
こうしたリアルな経験談は中高生の参考になるのではないかと思います。また、Aさんは最後にご経験を踏まえて参加者にメッセージを送りました。
「自分がワクワクするというのがすごく大事かなと思います。頭で考えたら、本当はこっちの方がとか、周りの人に言われるとか、世間体とか、いろいろあるかもしれません。でも、直感で選ぶものって、たまに間違うこともありますが、間違ってないことも多いかなと私は思っているので、自分から(ワクワクする方へ)飛び込んでみるのがいいと思います。」
「自分がワクワクすることが大事」、というメッセージは中高生たちに強く響いたのではないかと思います。
2) 教養学部4年 Oさん
広島県出身のOさんが東大を目指した理由は、その立地、教養学部前期課程に入学し、3年生から専門を決める(遅い専門化)のシステム、そして仲間や刺激を求めて、というところでした。
「(東大が)都市部に位置することが私の中ではすごく大きくて。東京は美術館や博物館などの文化的な資本がたくさんあるので素敵だなと思うようになりました。また、私は進路が決まってなかったのですが、1 、2年は好きなことを学んで、そこから進路を決めて、専門性を深められるのもいいなと思いました。あとは素敵な仲間に恵まれそう、刺激が欲しいというのもあったので、東大を目指すようになりました。」
Oさんは、理科二類を受けるも不合格、1年間広島で浪人生活を経て、文科三類で合格しました。授業については、時間割を示しながら、文系でも数学が必要であることや、専門の授業に自分の興味を合わせた形で時間割を作ることができる話をしてくれました。大学での学び以外に、積極的に取り組んだアルバイトやサークル、インターンなど積極的に取り組んだことや一人暮らしの経験談についても話をしてくれました。
そして、参加した中高生へメッセージを伝えました。
「高校までは、人と違うことに苦しむことが多かったのですが、大学では個性として受け入れてもらえる雰囲気を感じます。また、(東京大学には)頑張りたい時にチャンスがあり、一緒に頑張ってくれる仲間もいます。時々『みんな、頭いい、成績いいな。こんなこともできるの? すごいな!』と、ちょっと引け目を感じてしまうこともありますが、逆にそういう人たちと一緒に勉強していくことで自分も高められて、すごくいい循環になっている、いい刺激を受けていると感じます。」
教育学研究科准教授の植阪友理先生を交えての質疑応答では、受験勉強でモチベーションを維持するにはどうしたらいいか、という話が出ました。
Oさん:勉強する意味を見出せなくなってしまう時はあると思います。私も高校時代は「数学いらない」と思っていたのですが、大学に入った後で思いもよらなかったところで役に立ち、「ああ、数学って要るんだな」と思いました。高校の時はわからなかったけど、後で「やっておいてよかったな」と思える瞬間が来ると思っています。
Aさん:自分の生活と(受験勉強との)接点を頑張って見つける、ということをやっていました。例えば、化学だったら、身の回りの化合物とか、資料集を見て、「あ、こういうふうに使われてるんだな」みたいなのを探して、モチベーションをあげていました。
Oさんには、話題提供のセッションで十分にお話しできなかった留学の経験について改めてお話いただきました。
Oさん:一年間、正確には2セメスター(二学期間)交換留学で、スコットランドのグラスゴーに行きました。実際行ってみると、英語と気候がすごく辛くて。英語の能力を伸ばすために留学したのですが、授業についていけなくて、結局成績が思わしくなかったり。気候も、午後5時にはもう真っ暗で、まだ一日終わっていないのに、「一日何もしてない。どうしよう」という感じで、英語と気候にはすごく苦しみました。でも、今まで住んでいたとても快適なところから抜け出したことで、折り合いをつける、力強く生き抜く力っていうのは非常に身についたと思います。それなりにサバイバルして、とても楽しかったです。
総長のお話・質問コーナー

藤井輝夫総長
休憩をはさんで、後半のセッションでは、まず、藤井輝夫総長のお話がありました。人間社会が抱える課題を解決するためには、多様な考え方、多様な人たちの声が必要であり、だれもが実力を発揮できる社会を作っていかなければならないこと。また、東京大学には首都圏出身の男性が多いが、その状況を変えていきたいこと、女性、特に地方の女性に来てほしいという期待が語られました。さらに、UTokyo College of Designの開設を通じて、ますます多様な人たちを歓迎するキャンパスづくりを進めていくこと、そしてDEI推進に力を入れていく方針が示されました。
中高生から事前にいただいた質問に答えるセッションでは、初めに「総長は学生時代にどんなことを大切にし、過ごされていましたか?」という質問が出ました。総長からは、ダイビングのサークルに入っていたこと、バンド活動をやっていたというエピソードを伺うことができました。
「勉強、運動、趣味というふうに線引きしないで、自分が興味を持って楽しいと思えることを、どんどん掘り下げるということをしていくといいのかなと思います。学生時代は本当にどんなことも、とことんやってみるということを大切にして過ごしていました。」
時代に合わせて求める学生像は変化していると思われますか? という質問には以下の回答がありました。
「時代とともに、学生がチャレンジできる機会は広がっていると思います。私が学生の頃は、海外にアクセスする機会が非常に限られていて、たとえば、日本で海外のポピュラーミュージックが手に入るようになるには半年から一年のギャップがありました。今は、瞬時にいろんな情報にアクセスできます。そういう意味で、学生時代というのは、皆さんがいろんな活動の幅を広げられる機会が用意されていると思うんです。ですので、『時代に合わせて求める学生像』というよりも、むしろ、提供されている機会を、皆さんの自身の興味関心に従って活用してほしいと思いますね」
総長・東大生と中高生の交流会
交流セッションはあっという間に終わり、最後に総長から一言ご挨拶をいただきました。
「東京大学は、学生一人ひとりの興味や関心に合わせて、やりたい活動に挑戦できるよう、さまざまなプログラムを用意しています。学びの面でも、自分が興味のある分野を柔軟に選んで学べる環境が整っているほか、キャンパス外での学びや活動に関する取り組みも充実しています。皆さんの興味関心や将来のビジョンを形にする場として、ぜひ東京大学を目指していただきたいと思います。」
終わりに
説明会では、「自分のやりたいことに自由に挑戦していい」「東京大学にはそのための環境や支援がある」というメッセージが全体を通して示されました。また、東京大学の学びの特徴や学生生活の紹介に加え、総長はじめ教員、在学生との交流を通じて、参加された皆さまにとって東京大学をより身近に感じていただく機会になったのではないかと思います。
東京大学にご興味がある中高生・保護者の皆様は、来年度、是非ご参加いただければ幸いです。お会いできることを楽しみにしています。
(文責 特任研究員 久保京子)







