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琉球国王家伝来の「琉球国之図」、初のデジタル公開へ研究成果

掲載日:2026年3月18日

発表者

【東京大学史料編纂所】
尾上 陽介 所長
黒嶋 敏 教授
山田 太造 教授
中村 覚 助教
 

発表の概要

 一般財団法人沖縄美ら島財団の所蔵する「琉球国之図」(りゅうきゅうこくのず、図1)は、1796年に琉球王国が独自の測量技術で作成した精密な絵図で、かつては琉球の国王家に伝来していました。絵図には小さな文字で地名などが細かく書き込まれており、歴史史料としても高い価値を持っています。
そこで東京大学史料編纂所は、沖縄美ら島財団と研究協定を結び、高精細カメラで撮影した画像データと同所のシステムを利用した「沖縄美ら島財団所蔵「琉球国之図」デジタルアーカイブ」を構築しました。アーカイブでは画像データを構造化することで、絵図の細部まで閲覧できるだけでなく、文字検索や、他の絵図との並列表示といった操作を可能にしており、現在の地図と比較すると当時の測量技術の高さも確認できます。
この絵図は今回が初めてのデジタル公開であり、アーカイブはWeb上でスマートフォンからも簡単に利用できるため、一般の人々や学校教育の場などでの活用が期待されます。大学と地域との連携を深め、研究成果を社会に還元する点でも、意義の大きい取り組みとなっています。

図1:「琉球国之図」(沖縄美ら島財団所蔵)

発表内容

 「琉球国之図」は、1796年に琉球王国で独自の測量技術を用いて製作された精密な絵図です。もともとは琉球国王家だった尚家に伝来していましたが、現在は一般財団法人沖縄美ら島財団に所蔵されています。縦47.3cm、横96.8cmの紙幅に沖縄本島と周辺諸島を精緻に描き、美しく塗り分けられた彩色は一つの芸術作品としての印象も与えます。島の内外には地名や地理情報が細かく書き込まれており、当時の琉球を知るうえで貴重な歴史史料でもあることから、その詳細な分析が研究上の課題になっていました。
そこで東京大学史料編纂所では、沖縄美ら島財団のご協力のもとで「琉球国之図」を高精細デジタルカメラで撮影させていただきました。この画像データから琉球史の研究者とともに文字を解読したところ、数ミリ単位の小さな文字で記された情報が1684件に及ぶことが判明したのです(図2)。一つの絵図にこれだけ多くの文字情報が含まれているのは大変めずらしく、王国時代の琉球に関する絵図としては随一のものといえます。

 


図2:記された文字情報(「琉球国之図」瀬長島付近、絵図上では島の長辺が約6mm。)


 さらに史料編纂所では、沖縄美ら島財団と研究協定を結び、同所のシステムを利用して新たに「沖縄美ら島財団所蔵「琉球国之図」デジタルアーカイブ」を構築し、Web公開を開始することになりました。このアーカイブでは絵図の細部まで閲覧できるだけでなく、書き込まれた文字のテキスト検索や類例絵図との並列表示など、利便性の高い機能を多く搭載しています(図3)。これらは画像データ構造化の研究をもとにしており、史料編纂所が近年取り組んでいる画像公開の方法になります。
この「琉球国之図」のデジタル画像は、今回初めてWeb上で公開されるものです。デジタルアーカイブを利用することで絵図の研究がさらに進み、より深い分析が可能になります。とくに、「現代地図」機能を用いて絵図と現在の地図とを比べてみると、島の形がほとんど変わらず、当時の琉球が高い測量技術を持っていたことを確認できるはずです(図4)。
 また、Web上での公開は絵図に接する機会を増やします。たとえば、スマートフォンを片手に絵図と現代地図と照合しながら現地を歩くことも可能になり、一般の人々や学校教育の場、あるいは史跡見学・観光など、多様な場面での活用を期待できます。大学と地域との連携を強化し、研究成果を社会へ還元する取り組みとしても大きな意義を持つといえます。
 


図3:文字検索(「琉球国之図」読谷山間切の「すいなの崎」)


図4:現在の地図との比較(「琉球国之図」本部半島付近)



〈関連のプレスリリース〉
研究協定の締結に基づき、新システムから絵図画像をWeb公開―東京大学史料編纂所・沖縄県立博物館・美術館の連携による―」(2025/03/25)
新たなシステムによる絵図画像の公開開始―都城市・東京大学史料編纂所の連携促進による成果の拡大―」(2023/09/20)
琉球国絵図・倭寇図巻のデジタルアーカイブをHPより公開」(2021/12/07)
 

〈研究助成〉
 本研究は、JSPS 科研費(課題番号:18H00698・19H00536・22H00025・23H00012)、JSPS「人文学・社会科学データインフラストラクチャー強化事業」(課題番号:JPJS00320231001)、三菱財団人文科学研究助成「尚家旧蔵「琉球国之図」のデジタル公開と総合研究」(研究代表者・黒嶋敏)、および東京大学史料編纂所画像史料解析センター・同史料学協創センターの支援により実施されました。
 

お問い合わせ先

〈研究に関する問合せ〉
東京大学史料編纂所
教授 黒嶋 敏(くろしま さとる)
TEL:03-5841-5969
E-mail:kurosima*hi.u-tokyo.ac.jp(*を@に変更してください)

〈報道に関する問合せ〉
東京大学 史料編纂所 IR・広報室
Tel:03-5841-1615
E-mail:ir*hi.u-tokyo.ac.jp(*を@に変更してください)

首里城公園管理センター 首里城事業課(担当:上江洲・佐久本・白仁・金城)
Tel:098-886-2279(広報企画展示係直通)
E-mail:shurijo*okichura.jp(*を@に変更してください)
 

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