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抗ヘルペスウイルス活性を示す複雑天然物の化学合成 4種のダマステルペン類の全合成 研究成果

掲載日:2026年11月5日

 ダマステルペンII、IV、VおよびVIIは、キンポウゲ科植物より単離された抗ヒトヘルペスウイルス活性を示す天然物です。これらの天然物は、11/5員環が縮環した特徴的な2環性炭素骨格を共有します。この共通炭素骨格が多数の酸素官能基で様々に修飾され、このうちヒドロキシ基には2–4種類の異なるアシル基が置換しています。ダマステルペン類の複雑な構造を合成化学的に組み上げることは困難であり、これまでに全合成に成功した例は報告されていませんでした。
 今回、東京大学大学院薬学系研究科の山田雄太郎 大学院生、藤野遥 特任助教、井上将行 教授の研究グループは、独自に開発したラジカル-極性交差型3成分連結反応を用いた収束的な炭素骨格構築戦略と、分子の特徴的な3次元構造を利用した酸素官能基修飾によって、ダマステルペンII、IV、VおよびVIIを世界で初めて全合成しました。また、ダマステルペンVIIの完全な化学構造を、初めて明らかにしました。
 今回研究チームが達成した成果により、天然物の炭素骨格構築におけるラジカル-極性交差型3成分連結反応の有用性と、酸素官能基変換における合成中間体の戦略的な3次元構造制御の重要性が実証されました。新たに開発された方法論や全合成戦略は、ダマステルペン類以外の多くの複雑天然物にも応用可能です。さらには、これらの天然物を基盤とした創薬研究を加速することが期待されます。

論文情報

Yutaro Yamada, Haruka Fujino, and Masayuki Inoue*, "Total Synthesis of Damasterpenes II, IV, V, and VII," Journal of the American Chemical Society: 2026年10月30日, doi:10.1021/jacs.6c17218.
論文へのリンク (掲載誌別ウィンドウで開く)

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