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高い再生能力をもつクラゲも老いる 加齢による組織恒常性の低下と再生芽形成不全を解明 研究成果

掲載日:2026年10月2日

 東京大学大学院薬学系研究科の金久礼武 大学院生、中谷容子 学術専門職員、高鳥翔 助教、富田泰輔 教授、基礎生物学研究所の三浦正幸 所長、東京大学大学院薬学系研究科の中嶋悠一朗 准教授らの研究グループは、高い再生能力をもつ刺胞動物エダアシクラゲを用いて、加齢に伴って組織恒常性と再生能力がともに低下することを明らかにしました。
 エダアシクラゲの触手は、切断後2~3日以内に機能的に再生する高い再生能力をもちます。研究グループはこれまで、触手に常在する幹細胞と、損傷に応答して出現する再生特異的な未分化細胞が協調し、再生芽を形成することで迅速な触手再生が実現することを明らかにしてきました。一方、この高い再生能力がクラゲの一生を通じて維持されるのかは分かっていませんでした。
 本研究では、エダアシクラゲを長期間飼育して加齢過程を解析したところ、加齢に伴って体や触手が縮小し、生殖能力や摂食機能が低下するとともに、触手ではDNA損傷が蓄積することを見出しました。さらに、刺胞細胞や神経細胞、幹細胞様細胞の数が減少し、細胞増殖活性も低下していました。触手切断後の再生を調べると、老齢クラゲでは創傷治癒から触手の伸長、機能回復までが低下し、特に再生の起点となる再生芽における細胞増殖と幹細胞様細胞の集積が著しく減少していました。
 これらの結果は、高い再生能力をもつ動物であっても加齢に伴う組織恒常性の低下から逃れられるとは限らず、加齢が再生システムを制限しうることを示しています。本研究により、エダアシクラゲは「老化と再生の関係」を動物進化の観点から理解するための新たな実験モデルになることが期待されます。

論文情報

Ren Kanehisa, Hiroko Nakatani, Sho Takatori, Taisuke Tomita, Masayuki Miura, and Yu-ichiro Nakajima, "Aging disrupts tissue homeostasis and constrains blastema-mediated regeneration in the Cladonema medusa," Aging Cell: 2026年10月2日, doi:10.1111/acel.70727.
論文へのリンク (掲載誌別ウィンドウで開く)

お問い合わせ先

東京大学大学院薬学系研究科
准教授 中嶋 悠一朗(なかじま ゆういちろう)
Tel:03-5841-4863 E-mail:nakaji97@g.ecc.u-tokyo.ac.jp
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