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在留外国人、人権教育、民族学級……日本の多文化共生の源流は大阪にあり?

掲載日:2026年5月7日

在留外国人、人権教育、民族学級……日本の多文化共生の源流は大阪にあり?

日本の移民や在日外国人を研究してきた髙谷幸先生が取り組み、2022年に著書にまとめた大阪での多文化共生に関する再評価。
在日コリアンが集住してきた歴史、当事者や市民活動に携わる人たちの試みや、外国人労働者研究などを紹介してもらいます。

1970年代から続く大阪の多文化共生

髙谷 幸
TAKAYA Sachi
人文社会系研究 准教授

大阪は歴史的に在日コリアンが集住してきた地域です。日本による朝鮮半島の植民地支配や大阪と済州島をつなぐ直行航路開設などで増加し、終戦後も日本に留まった在日コリアンが一番多い地域が大阪でした。日本の総人口に占める在日外国人の割合が1%未満だった時代でも、大阪市では4~5%くらい、日本最大のコリアタウンがある生野区はおおよそ20%。異なる背景を持つ人たちが共に暮らしていくための取り組み、すなわち多文化共生の歴史的な厚みがあります。部落解放運動や同和人権教育が盛んな土地だったことも重要です。社会的に不利な扱いを受けていた人たちに対する反差別を掲げた取り組みに影響を受けた在日コリアンのグループが生まれたり、子どもの進路保障の取り組み、母語や母文化などを学ぶ「民族学級」の設置などがなされました。

ヘイトスピーチに対する条例が最初にできたのも大阪市です。政治参加についても全国に先駆けて大阪府と市に有識者会議が設置されました。これらの運動の土台には人権や反差別といった理念がありました。

外国人をサポートしてきたNPOや教育関係者などへのインタビューを通して分かったのが、活動のきっかけは日常での外国人との出会いだということ。顔をもった存在である人が置かれている状況を見て「おかしいのでは」と感じ、その具体的経験から不正義感覚が養われ関与していくようになる。そういう人が集まり、制度改革などにつながってきたことは他の地域にとっても何かヒントになるのではと考えています。

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生野区のコリアタウン。在日コリアンが集住してきた地区ですが、近年は中国、ベトナム、ネパール、ミャンマーなどルーツは多様化しています。
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大阪市外国籍人口推移
1970年代から、全体の人口の4%以上を保っている大阪市の外国籍人口。韓国・朝鮮籍の人がほとんどでしたが、1990年ごろから徐々に多様化してきました。
出典:各年10月1日現在(国勢調査にもとづく)。外国籍、韓国・朝鮮籍人口は各年末の数字(2010年までは外国人登録者数、15年、20年は在留外国人数)。外国籍と韓国・朝鮮籍人口は大阪府企画部統計課編『大阪府統計年鑑』各年版、法務省「在留外国人統計」、大阪市ウェブサイト「住民基本台帳・外国人人口」、大阪市公文書館における資料にもとづく。

多様化する在留外国人

現在も細々と大阪の研究は続けていて、生野区でフィールドワークをしています。在日コリアンの集住地区でしたが、中国人やベトナム人、最近ではネパールやミャンマー出身の人が増え住民のルーツは多様化しています。外国人≒在日だった地域に他の外国人が増えたとき、地域はどう変化するのかに関心を持ちインタヴューや参与観察を行っています。

ほかには、外国人労働者の受け入れについても関心をもっています。2018年の出入国管理及び難民認定法(入管法)の改正によって特定技能制度が創設され、受け入れを拡大してきました。制度導入の政策過程や、企業がその制度をどのように使っているかなど、制度変更による影響を研究しています。

オーバーツーリズムの問題などとも結びつけられ、日本の多文化共生は難しい時期に来ていると感じています。一方では経済界や人口減少に直面している地方自治体にとっては外国人なしには成り立たない状況があります。他方で外国人の増加に対する不安や不満が強調されるようになっています。これらをどう解きほぐしていけるのか、同時に、排外主義的な影響が日本に暮らす移民たちにどのような影響を与えているのかも気になります。大阪の研究も含め、今の研究をまとめ、移民という視点から、現代社会のあり方と変化について今後も考え続けていきたいです。

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2025年11月2日に 板橋区立文化会館で開催された「多文化共生と地域社会~Think globally, Act locally~」にパネリストとして登壇した髙谷先生。「多文化理解・地域共生の課題とグランドデザイン」をテーマに府中市長の高野律雄さん、板橋区議員の岩永季倫さん、板橋区政策経営部長の篠田聡さんと意見を交わしました。
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髙谷先生の編著『多文化共生の実験室 大阪から考える』(青弓社、2022年)別ウィンドウで開く
教育現場での取り組み、在日コリアンの当事者運動や民族的マイノリティも含んだ市民の実践など、大阪での多文化共生に関する共同研究をまとめた1冊。

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