インクルーシブな社会実現のための人材育成にご支援を
近藤武夫
KONDO Takeo
先端科学技術研究センター教授

企業で活躍する人材、起業家、研究者など、現在様々な分野で活躍する人たちを輩出してきた「DO-IT Japan
」。2007年に始まった、障害や病気のある若者たちへの教育・キャリア支援プロジェクトです。
「リーダーとなる人材を育てていきたいです。障害のある人自身が独自の視点や個性を活かして活躍し、一緒にインクルーシブな社会を実現していくことを目指しています」と話すのはDO-IT Japanのディレクターを務める先端科学技術研究センターの近藤武夫先生。
日本でインクルーシブ教育システムが始まったのは2012年以降のこと。障害のある人への「合理的配慮」の提供が私立学校を含めて義務化されたのは2024年4月です。しかし、まだその認識が十分社会に浸透しているとは言えず、DO-IT参加者の中にも「あなたには学ぶ権利がある」と応援された経験が少なく、不安を感じている人が多いのが実情です。プロジェクトでは、テクノロジーを活用した学習体験やインターンシップ、他の参加者や先輩との交わりなどを通して視野を広げ、自立や自己決定やセルフアドボカシーといったことを学んでいきます。


DO-ITの主軸は「スカラープログラム」。中学生から大学院生を対象に毎年全国から10人ほどの参加者を選抜しています。全ての障害や病気を対象にした教育プログラムは、日本ではDO-ITのみだそう。
このプログラムの核となるのが、駒場リサーチキャンパスで行われる5日間の合宿式夏季プログラムです。講義を受けたり、ラボ訪問したりといったキャンパスライフの疑似体験を行います。親元を離れて自己決定しながら生活する。多くの参加者にとって初めての重要な経験になります。しかし運営資金には課題があります。
「なにより頭を抱えているのが、近年の宿泊費の高騰です。プログラムを継続できなくなるのではないかというくらい。保護世帯や非課税世帯などを除き、参加者には宿泊費の一部を負担してもらっていますが、それでも年間数百万かかります」



参加者の障害種別も多岐にわたり、介助者手配や受け入れ態勢整備といったことにも資金が必要です。
今年、東大基金の「障害のある若者のリーダー育成プロジェクト」を立ち上げました。全国から集まるプログラム参加者の受け入れ体制整備、そして個別のニーズにあった支援機器の購入への支援を募っています。スカラープログラムの参加者は毎年10人ですが、本当はもっと増やしたいという気持ちもあると近藤先生。
2026年には20周年という節目の年を迎えるDO-IT Japan。「障害や病気のある若者たちの活躍のハブとなることを目指して活動を継続し、盛り上げていきたいです」


