ハルデン教授(2016年ノーベル物理学賞受賞)が来所、臨時講演会を開催 "Quantum geometry and fluid dynamics of the quantum Hall effect"

2016年のノーベル物理学賞受賞者であるダンカン・ハルデン教授(F. Duncan M. Haldane, Princeton University)が、9月29日から10月2日まで物性研究所へ滞在、30日には臨時の物性研談話会が開催され、学内外の学生、教職員など約200名が聴講に集まりました。ハルデン教授は、サウレス教授、コステリッツ教授と共に「トポロジカル相転移と物質のトポロジカル相の理論的発見」によりノーベル物理学賞を受賞されています。


開会にあたり押川正毅教授によるハルデン教授の紹介がありました。ハルデン教授の提唱したトポロジーの概念に触れつつ「ダンカンの前と後で、固体物理は大きく変わりました。今日来ている若い方々はダンカン後で出来上がった現代的な物理学を学ぶわけです。」と紹介されました。「Quantum geometry and fluid dynamics of the quantum Hall effect」と題した講演では、整数量子ホール効果や分数量子ホール効果の紹介に始まり、量子ホール流体における四重極子の果たす役割に関しての最新の研究成果が説明されました。熱意のこもった講演で予定していた時間を大きく超過しましたが、多くの学生・若手研究者が熱心に耳を傾けていました。
また講演の後に設けられたi♡Caffe(アイカフェ)時間では、多くの学生や若手研究者がハルデン教授を囲み質問をしており、時間の許す限り、多くの方と議論を交わしたり写真を撮ったりしていました。
今回の来訪は、招待講演される「STS Forum 2025」および「筑波会議2025」への来日に合わせたもので、急遽企画されました。この懇談会のみならず、滞在期間中には押川研究室をはじめとする理論グループ、トポロジカル物質の研究に関わる多くの所員・研究者と議論を交わしていました。