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小林俊行教授が藤原賞を受賞

掲載日:2026年6月22日

数理科学研究科教授であり、カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)シニアフェローを兼ねる小林俊行教授が藤原賞を受賞され、2026年6月17日に授賞式が行われました。

藤原賞は、公益財団法人藤原科学財団により、自然科学分野において科学技術の発展に卓越した貢献をした功労者に授与される、我が国を代表する顕彰の一つであり、数学・物理、化学、工学、生物・農学、医学の5分野から毎年2件が選ばれます。本学関係者では、小柴昌俊特別栄誉教授(1997年)、大隅良典特別栄誉教授(2005年)、十倉好紀特別栄誉教授(2011年)らが受賞されています。

今回の小林教授のご受賞は、理学部数学科においては1975年の小平邦彦名誉教授以来であり、また数理科学研究科においては1992年の発足以来、現職教員として初めての受賞となるものです。

小林教授は、「無限次元の対称性の数学的研究」を主題として、まだ顕在化していなかった根源的課題を自ら提起し、35年以上にわたり、独自の研究潮流を日本から発信し、世界の数学研究を牽引してきました。その研究は、解析・幾何・代数を深いレベルで統合し、従来の枠組みを超える新たな数学の地平を切り拓くものです。

とりわけ、長らく体系的理解が困難とされてきた無限次元表現の制限・分岐の問題に対して、離散的な分解現象を発見し、その背後にある構造を初めて理論化しました。さらに、無限次元対称性の破れに潜む「秩序」を統一的に理解する理論基盤を構築しました。これらの成果は、表現論における分岐則理論の根源的なブレークスルーとして、その後の研究の飛躍的発展を促すとともに、大域解析や整数論など周辺分野にも広く波及しています。
 
また、小林教授は、距離構造を持たない幾何学において、既存の理論の延長では捉えられない現象を対象に、新たな概念と枠組みをゼロから構築し、不連続群の作用に関する本格的な一般理論を世界に先駆けて確立しました。その理論を基盤として、局所等質空間の大域幾何学構造を初めて体系的に明らかにしました。

加えて、小林教授は、複素多様体における「可視的作用」の概念を導入し、有限次元・無限次元を問わず現れる無重複表現を統一的に捉える理論を構築するなど、異なる数学分野を結びつける根源的な成果を挙げています。近年においては、極小表現をモチーフとする大域解析や、対称性破れ作用素の構成と分類に関する研究など、新たな研究領域の創生にも中心的役割を果たしてきました。
 
小林教授のこれら一連の業績は、異なる数学分野の深い結合をもたらし、数学の広範な分野に影響を与える根源的な成果として国際的に高く評価されています。さらに、小林教授の業績が現代数学にもたらした影響を総括する、3巻・約2000ページに及ぶ記念論文集(Festschrift)が国際的な学術出版社から刊行され、その学問的な重要性の大きさを示しています。

小林教授はこれまで、日本数学会春季賞、井上学術賞、フンボルト賞、紫綬褒章、アメリカ数学会フェロー、フランス・University of Reims Champagne-Ardenne名誉博士号など、国内外で数多くの顕彰を受けています。また、Kavli IPMUにおける分野横断的研究の推進や、日仏数学連携拠点設置を通じた国際共同研究の強化など、本学の国際的研究拠点形成にも大きく貢献してきました。

本受賞は、小林教授の長年にわたる独創的かつ卓越した研究活動が高く評価されたものです。この栄えある受賞を心よりお祝い申し上げるとともに、今後のますますのご健勝とご活躍を祈念いたします。

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